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IT化経営羅針盤250 ダブルスタンダード?企業の生成AI活用

2025.07.01

AIの話題が尽きない今日この頃ですが、ふと気になったことがあって調べてみました(いえ、AIに調べさせました)。2025年6月28日付の日経新聞によると、「経営者が生成AIを使う頻度は?」という調査結果で、実に39.8%の経営者が「毎日使っている」と回答しています。「2〜6日に一回使う」が34.7%。合わせて74%近くの経営者がかなり高い頻度で生成AIを使っていることになります。

おそらく、孤独になりがちな経営者にとって、生成AIは「相談相手」として非常に有用なのでしょう。時間を選ばず、即座に応答してくれて、しかも一定レベルの答えを返してくれる。頼れる経営顧問のような存在と言えるかもしれません。

しかし、その一方で、現場レベルでの生成AI活用には大きな壁があるようです。企業IT利活用動向調査(2025年版)によれば、59.9%の企業が「生成AIへの入力によって機密情報が外部に漏洩するリスクがある」と回答しています。この二つの調査結果を単純に組み合わせると、「社長はAIを日常的に使っているけれど、現場には使わせない(使わせられない)」という、ある種のダブルスタンダードな状態が浮かび上がってきます。

この状態を放置してしまうと、生成AIの企業導入が進まないどころか、社内の分断や混乱を引き起こす可能性すらあります。今回は、この「AI活用の温度差」について考えてみたいと思います。

そもそも何が心配なのか?

前述の「漏洩リスク」という言葉は、背景に「従業員が機密情報を不用意にAIに入力してしまうのではないか」という不安を感じさせます。確かに、生成AIに対する理解が浅いまま利用が広がれば、誤って重要な情報をクラウドに送信してしまう可能性は否定できません。

しかし、これは単なる「生成AIのリスク」ではなく、もっと本質的な問題——つまり「情報資産の棚卸しができていない」ことの表れではないでしょうか。

自社で保有している情報のうち、どれが機密情報で、どれが開示可能なのか。誰が、どのレベルの情報にアクセスできるのか。その基準や区分けが明確にされていないため、「とにかくAIは危ないから触らせない」という判断になってしまっているケースも多いように感じます。

実際には、社内の情報資産を分類し、「この情報は社外に出してはならない」、「この情報は機密情報ではない」と明確に分類できていれば、生成AI活用の可否も判断しやすくなるはずです。つまり、社内情報を使うAI導入の第一歩は「情報整理」にある、とも言えるのです。

ローカル生成AIという手段もある

「クラウドには出せないが、生成AIは使いたい」というニーズも、実際には多くの企業で存在しています。特に、社内ドキュメントを要約させたり、過去の議事録から類似案件を抽出させたりといった処理では、生成AIの出力精度が非常に高いからです。

そのような場合に有効なのが、「ローカル生成AI」という選択肢です。

近年、生成AIモデルは急速に進化し、軽量かつ高精度なモデルが続々と登場しています。MetaのLLaMAやMistral、さらにはPhi、Gemmaといった中小モデルが、個人のPCでも動作可能なレベルで提供されており、企業内でローカルに動かすことが可能です。

これらのモデルは、ネットに接続する必要がなく、社内サーバーやPC上だけで処理が完結します。したがって、クラウドに情報が流出する心配もありません。また、業務に特化したデータを事前に読み込ませておけば、「汎用型クラウドAI」よりも実用性が高くなる場合もあります。

もちろん、導入にはある程度のITスキルが求められますが、セキュリティと利便性を両立したい企業にとっては、非常に有効な選択肢と言えるでしょう。

セキュリティについては、本件以外でも対策を着手しなければならない理由は山積しています。特に近年は海外からの攻撃が増えてきており、中小企業と言えども標的になる時代です。そんな一面を考慮し、まずは情報資産の棚卸しから手をつけ、いち早く上手に生成AIを使いこなす、というしなやかなデジタル化経営を実現するべきではないでしょうか?

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