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IT化経営羅針盤2 社長命令「当社もRPAを導入せよ!」の危うさ

最近話題のRPA。英語だとRobotic Process Automationです。
「ロボット」、聞こえがいいですね。
政府が働き方改革のかけ声をかけている現状、日本語だと「事務の自動化」と訳されることもあります。
IT業界の中では「デジタルレイバー」という擬人化した呼び方もされています。
大企業で華々しいRPA導入成功事例などが連日伝えられ、人材を思う様に採用できなくなってきたことも背景だと思いますが、最近社長や組織のトップが社内のIT担当者や総務担当者に「当社もRPAを導入せよ」と号令する、という場面をいくつか見聞きするようになりました。

確かに、製造現場や営業現場についての合理化や自動化は皆さんずいぶんと進められてきたと思います。その結果、改善効果がどうしても小粒のものに集約してきている、というのも皆さん同じ状況です。
そうなると、今まで手を付けることができなかった、事務仕事や人間の手動仕事を「なんとなく自動化してくれそうなRPA」を使えば効果が出るように思ってしまいます。
ごく自然の判断だと思いますが、それで「RPAを導入せよ」という大号令を出すのは少々飛躍しすぎです。なぜなら、号令を受ける立場の担当者の立場になってみると、
「そもそも何を自動化すれば良いのか?」
「自分のやっている仕事は複雑すぎるので自動化できるとは思えない」
という、いわば途方に暮れる状況が発生することが多いからです。
しかも、場合によっては、
「事務の自動化」=「自分の仕事が無くなる、かも?」
という認識をする可能性すらあります。

そのような状態のまま、RPAを無理矢理導入するとどうなるのか、それははっきりしています。
・自社に必要な機能を有するRPAプラットフォームを選定せぬまま、口コミで評判の良いものを買う
・担当にいじらせてみるものの、自動化の対象とする業務が特定できず、そのまま死蔵
・実証実験ができたとしても、根幹となる業務は複雑なので自動化チャレンジできない
・従って、実証実験の効果が小さい、もしくは、効果が全く測定できない

こんな事態が発生します。
それでも社長の号令で強引にRPAプラットフォーム(ソフトウェア)の導入に踏み切るかもしれません。
そこに更に落とし穴があります。
そもそも、RPAによる自動化は、業務プロセスを可視化できることが大前提です。可視化とは、簡単に言えば、「第三者に仕事の細かい内容を説明する為の書類が完成している状態」のことです。
ロボットはソフトウェアとはいえ「担当者」と同等です。
お客様にはたとえ話をするのですが、ロボットのことをアルバイトに擬人化すると解りやすくなります。
・A社さんは、事務の人手が足りないので、佐藤さんを今日からアルバイト雇用しました。
・事務担当の田中さんに、「佐藤さんにあなたの仕事を教えて手伝ってもらいなさい」と指示しました。
・田中さんは、佐藤さんに仕事を教え始めますが、なかなか一人前になりません。

いかがでしょうか?こんなことは良くある話ですね。
田中さんの仕事が複雑であればあるほど、佐藤さんが一人前になるには時間がかかります。下手をすると数ヶ月かかることもありますし、結局一人前になれずに辞めてしまうこともあります。
この原因はいったい何でしょうか?
いくつか可能性がある原因を拾い出してみます。
(1)田中さんの仕事が複雑すぎて、簡単に教えられない
(2)田中さんがきちんと仕事を教えていない
(3)佐藤さんが仕事を覚えられない
(4)佐藤さんが元々この仕事に向いていない
こんなところでしょうか。
佐藤さんを「ロボットさん」に置き換えてこれを考えると、上記の原因は以下の様に言い換えることができます。
(1)田中さんの仕事が複雑で整理しきれていないので、ロボットに教えられない
(2)田中さんが仕事の内容を手順化できない、していない
(3)ロボットさんが仕事を覚えられないーーー>ロボットは機械なので、これはあり得ません
(4)ロボットさんが元々この仕事ができる機能を持っていないーーー>RPAの選定ミスです

では、この会社はどうすればロボットを導入できるようになるのでしょうか?
ロボットを「新人」に擬人化し、社内で計画を立て、準備すれば、それは可能です。
・まず、「事務を自動化してどうしたいのか?」を定めます。目的と目標の設定です。
・その目標を達成する為に、どの業務を自動化すべきか考えます。自動化戦略の立案とも言えるでしょう。
自動化対象の業務を詳細に定義します。新人に教えるつもりで業務を手順化することが必要です。これができなければ自動化は不可能です。
・定義した手順を実行可能なRPAプラットフォームを選びます。機能で選び、それを社員が操作できる、という二つの要求を実現できるソフトウェアの選定が必要です。
・導入したRPAで小さく試します。
・導入したRPAで順次ロボットを作成していきます。当然PDCAを回し、ロボットの動作に改造が必要であれば、社員の手で修正します。

以上、「組織がRPAを導入する際の基本的進め方」をご説明しました。
RPAは日進月歩で進化していますので、選定も導入も非常に難しいのが実情です。
ただ、どんな技術を導入したとしても、その前に「業務を自動化できるようにきれいに整理しておくこと」が肝要です。

効率よく、正しくRPAを導入し、組織を成長軌道に載せたいものですね。

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