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IT化経営羅針盤105 中小企業社長の為の「DX化ネタ探しのコツ」

 「鈴木さん、うちみたいな零細にDX化のネタなど無いですよね?」とポツっと小声でクチに出す経営者さんに出会いました。世の中DXDXとうるさいほど言われていますし、政府も「日本の企業はDX化を進めなければ生き残れない」などとあちこちで言っています。しかし、表面に出てくるDXの成功事例は大抵の場合大手企業のものばかりで、小規模企業のものはあまり目立ちません。大手であればデジタル化するネタが非常に多いのかもしれませんが、どっこい中小でもちょっとしたコツを体得すればDX化のネタはいくらでも転がっているものです。

まず、そもそもDXとは「デジタルを使った企業変革」ですね。ここで経営者さんの大勢が勘違いしていることが1つ。それは、

 

 デジタルを使った企業変革 = 社内IT化 だ

 

という誤認です。IT化=システム化という捉え方もされるため、結局「DXはシステム導入」と狭義の解釈をしてしまったり、商売とは関係無い、と判断してしまう経営者さんが非常に多いのです。そもそも「IT化=社内合理化」と狭義に認識している社長も多く、この言葉の連鎖で文脈を捉えると、「DX化=社内合理化」という極めて狭い意味で認識してしまい、結果的に「当社の様に規模が小さい会社は社内の合理化ニーズはそもそもあまり無いからDXは当社には無縁なのだ」という誤った結論に到達してしまうのです。

さて、それでは狭義ではなく広義の意味はどのようなものなのか?ですが、私は以下の様な分類を提示するようにしています。 企業にとってのデジタルの活用目的は・・・

 

1)社内作業の合理化を目的とするもの

2)売上を伸ばすために活用するもの

3)製品やサービスそのものに付加価値を加えるもの、またはそれらの価値を抜本的に変えるもの

 

に分類できます。おそらくほとんどの経営者さんが、(1)の解釈に留まり、一部が(2)まで到達しているものの、(3)にはなかなかたどり着いていないと思いますが、そもそもの「DX化」という言葉は、この(3)を指し示した言葉なのです。さて、中小企業にとって(3)には本当にチャレンジすることができるのか?その意味はどのようなものなのか?が知りたくなってくると思います。(3)をもう少し具体的に深掘りしてみましょう。(3)を自社に当てはめてみる思考方法は、以下のように分類されます。

 

①商品にCPUとセンサー、通信機能が付いたらどうなるのか考える

②通信機能の先には高度な分析機能があったらどうなるかを考える

③お客様と常に接続されていたらどうなるのかを考える

 

このように並べても、まだ「う~ん」とうなってしまうかもしれませんね。しかし、これらをこう言い換えてみてはいかがでしょうか?

 

お客様のところで動く自社商品をうまく使ってもらうため、社員が24時間お客様のところに張り付くことができたらどうなるのか?

または、

お客様に24時間くっついて行動することにより、お客様にさらなるサービスを提供できないか?

 

もちろん、お客様のところに24時間社員や社長が張り付くことはできません。しかし、上記①~③の技術を使った場合、それが仮想的に実現できるかもしれないのです。

身近な例を見てみましょう。例えば体重計です。一昔前、体重計はご家庭の脱衣室の片隅に置かれたもので、入浴の前後あたりでお父さんが体重を量る、といった光景が代表的なシーンでした。健康診断や人間ドックに行く度に医師や看護師さんからダメ出しされ、毎日計測してノートに記録し始めてみるものの、どうしても3日坊主で終わり。これを毎年繰り返す…。といった使い方が典型的(?)でした。従って、体重計の値段は少しずつ下がり、どこにでも売っている安物を買えば充分でした。しかし、今や体重計にはCPUと(当然重量のセンサーと)、メモリー、Bluetooth通信機能が入り、スマートフォンに自動的にデータが送信・蓄積・分類できるのが当たり前になっています。更に、摂取食物の履歴管理などをトータルで保管分析する機能が付き(それも写真撮影だけで)、インターネット越しにアドバイスや励ましの言葉が送られてくる…。ここまで来ると、体重計はいわゆるカラダの状態を測定するためのセンサーデバイスに変革したと言え、値段が急激に高くなりました。しかも体重計メーカーは総合的な健康増進サービスを提供するサービス業に衣替えしたようなものです。これはDX化の典型的な例と言えるでしょう。

また、DX化はモノ売りだけの領域に留まることはありません。サービス業であっても、お客様と常に繋がりつづけることで、従来とはまるで別物の付加価値を提供することが可能となります。例えば会計事務所を例に考えてみましょう。従来会計事務所は企業の仕訳作業代行や、決算書作成代行を担ってきました。伝票が多い企業の場合には、定期的に企業訪問し、伝票を預かったりレジのデータを抜き出したりして、それを持ち帰って会計ソフトに仕訳登録するといった業務を行ってきました。顧客企業にとっては、会計事務所の担当者がいちいち来るので、その対応に煩わしさを感じることもあります。ところが、現代の最新の会計事務所では、クラウド会計ソフトを顧客と自社の両方に導入し、そこに電子的な取引データを取り込む様に設定して手作業での仕訳を激減させたり、顧客企業に訪問すること自体を不用とすることも出来るなど、会計事務所のあり方自体が変革を迎えています。

つまり、どのような業種業態であっても、上記①~③の考え方のコツを体得すれば、DX化のネタはそこら中に転がっていることに気がつかれると思います。当然それがビジネスとして成立するか精査が必要ですが、①~③のコツで社長の頭の中で体操をしただけでも、成功の可能性が高いネタが出てくると思います。

DXなんてうちには関係無い…」と最初から敬遠するのではなく、是非一度「自分がお客様のところに張り付くことができたら、どうなるだろう?」という視点で考えて頂ければと思います。

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