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IT化経営羅針盤112 経営指標との直接の連動性無くしてシステム化の成功無し

2021.08.17

システム化を考える社長の中には「当社はあまりにもアナログな業務をしていてダメだ」とか「社員の生産性はもっと上がるはずだから、システム化によってそれを果たそう」というお考えだけでシステム化プロジェクトをスタートする方が数多くいらっしゃいます。私の肌感覚としてはおそらく「ほとんどの社長」と言っても過言ではありません。これらの方々はシステム化投資に対するリターンを「想像だけ」で考えていることが多く、巨額のシステム化を実行した後になって「あれ?こんなはずは無かったのに…」といった結末に陥るケースが後を絶ちません。これが多くの社長のトラウマとなっており、「システム化しても効果は無い」と大きな誤解に陥ることになる原因です。

製造業であれば機械装置の投資を行う際、投資額と効果(たとえば生産性)がどう釣り合うか、ほとんどの経営者は緻密な計算を積み上げます。その結果、「当社にとっては大きな投資だが、3年すれば元が取れる」といった投資回収計画を立て、その上で投資実行します。ところが、ことがシステム化となるとどういう訳かその計算をしない社長が多い…。その理由は「システム化は間接費を抑制するもの」という根強い誤解が多くの社長の頭にすり込まれているからです。

ここで、少し難しい概念を持ち出します。KGIKey goal indicator)とKPIKey performance indicator)の関係性です。KGIはどんな会社も多かれ少なかれ明確にお持ちで、例えば売上金額や営業利益額、これらの率などの数値とその目標です。「こんなこと当然」と思われると思いますが、問題はここからです。システム化投資により、例えば以下の目標を立てたとします。

スタッフの平均残業時間を5時間/月減らす

製品一台あたりの間接工数を30分/台減らす

これらはいわゆるKPIに相当します。これも皆さんから「当然」と指摘されそうです。問題なのは、この「KPIとKGIの数字の間に論理的な関係性を定義できていない」ということなのです。

KPIツリー」と呼ばれることもありますが、基本的にKGIKPIの間には以下の論理式が成立するように考える必要がある。

XXXのKGIYYYKPI(四則演算)XXXKPI

現実にはもっと複雑な計算式となるはずですが、KPIの四則演算によってKGIが定まる、という計算式です。その計算式を持っていないか明確に定義していないため、「KGIKPIの間の論理的な関係性が曖昧」という状態が生まれます。

それが故に、システム化投資のKPIをいくら定めてあっても、KGIと直接の関係性が希薄な為、社長や経営陣の興味を引かず、KPIをいくら達成できたとしても経営的な効果が良く解らない、といった状況に陥ります。よく「鈴木先生、システム化投資の効果が良くわからないんです」と仰る社長がいらっしゃいますが、これは当たり前のことで、上記のようなKGIKPIの間の論理的な構造式を定義できていないから「よくわからない」のです。もしくは、KPIに無関心であるが故にKPIをきちんと測定できる仕組みを持っていないケースもあります。上記の「スタッフの平均残業時間を5時間/月減らす」というKPIについて、「システム化のおかげで減った時間」とそれ以外の外的な要因による残業時間の増減を区分して把握する仕組みがなければ一気にKPIとしての価値やKGIとの連動性を失います。製品一台あたりの間接工数をKPI目標にするのであれば、その測定方法を定め、自動的に把握できる仕組みやソフトウェアが必要になり、その機能を実現するために投資が必要なのであれば初期のシステム化投資予算の中に含めておかねばならないのです。ケチってはなりません。

機械購入投資をする際には厳密に計算しているのに、システム化投資の時にはそれを曖昧にしてしまう…。こんな癖はもうやめにして、きちんとKGIに効果が及ぶシステム化投資ができるようにしましょう。

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