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IT化経営羅針盤115 社長の悪夢 システムはいつか必ず止まる!

社長の悪夢 システムはいつか必ず止まる!

このようなテーマでコラムを書くのは気が引けることですし、誤解を招けば企業のシステム化の動きをスローにする力学が働くことに加担することにもなりかねません。しかし…どうしてもお伝えしておかねばならないことであり、会社のリスクマネジメントや事業継続性の担保の為に検討必須のことですので、敢えて・・・。

先日(202192日)、世界的に大きなシェアを持っているアマゾンのシステムインフラサービス(AWS)の一部が停止し、様々な企業のシステムが停止しました。停止したサービスの数や影響度は正式に公表される情報がありませんのではっきりしませんが、大手のインターネットサービス、金融基幹のスマホアプリ、航空会社の予約サービスなど、多岐に渡るシステムが影響を受けた様です。AWSは中小規模の企業でも使っているケースが多いことから、報道されていない企業の社内外システムも影響を受けたであろうことは容易に想像できます。

AWSをはじめとする、大手IT企業が提供するこのようなシステムインフラのサービスは、システムの根幹を成すものです。クラウドが一般的になる前は、企業が社内システムを立ち上げる際には、社内にサーバールームを持ち、停電に備えて電源を多重化し、そこにサーバーを設置して、データのバックアップや、サーバー自体も故障に備えて複数台導入することが多くありました。これは企業にとって導入時のみならず運用についても多くの経営資源を必要とするため、大きな負担になっていました。

そこにアマゾン、マイクロソフトなど、クラウドでシステムインフラを提供する会社が急増し、今や社内にサーバールームを持つことは一種の時代遅れ、というところまで環境が激変しました。この様なインフラサービスは、そもそも1企業が単独でできる安定稼働対策のレベルを大きく越え、通常ではなかなか達成できない安定稼働状態を作ることができます。それが魅力となって大手企業を中心にクラウドへの移行が加速、今や中小でも最初からAWSを使ってシステム構築をする等のケースが増えています。

ところが、これらインフラサービスを提供する大手IT企業がどんなに頑張っても、機械モノであるが故に「100%の稼働を保証することはできない」のです。それを今回は実体験として思い知らされた形になりました。

では、企業の経営者はこのリスクにどのように立ち向かえば良いのでしょうか?一つのインフラサービスが止まったとしても、他のインフラサービスが生き残っていれば、そちらに切り替えて事業継続をする、という考え方もあるでしょう。しかしこれを実現しようとすると、一つのシステムであっても複数のインフラを持ち、どちらかがトラブル発生した際にもう片方に移動して事業を継続させる、ということになるため、コストは非常に大きなものとなります。加えて、このように複数化したシステムをきちんと運営させようとすると、その為の技術的ノウハウを持った人や組織が検証しながら手順書を作らねばならず手間も大変ですし、はっきり言ってトラブル発生時にきちんと切り替えることができるか甚だ疑問です。事実、様々なバックアップシステムを持っていた某大手銀行でも、1つのシステムトラブルが元で全部門のシステムが停止する、という事件に発展ししかも復旧に長時間かかってしまったという事態が起こりました。システム全体が複雑すぎて担当者が全体を把握しきれない、といった内情もうかがえます。

そうなると、企業経営者としてはどう考えるべきなのか・・・? 答えは比較的簡単で、「システムが止まっても、昔ながらの方法で会社運用を継続させる」ということになります。「なんだ、そんなことなのか!」と呆れてしまうかもしれません。しかし・・・

 システム化済みの仕事を、手作業で進めることは大きな困難を伴うことが多い

ものなのです。従来社内伝票で回してきた仕事をデータベース管理できるようにシステム化したとします。その際当然ですがデータを全社に共有できるようにするなどして「社内で同時進行的に仕事が進むようにシステム化する」ことが行われます。仮にこのシステム化が実現できた後、システムが停止するような事象が発生すると、その瞬間に全社の仕事が止まります。心臓停止の様に…。昔の伝票を取り出して社内を回そうとしても、情報を全社共有する仕事の進め方に変わってしまっているので、全く進めることができないことでしょう。

こうなると、「異常が発生した場合には、それが解決するまで待つしかないのか?」という諦めが聞こえてきそうですが・・・

 あらかじめシステム停止に備えた業務設計とシステムを想定しておけば対処のしようはある

のです。

これからまさにシステム化に取り組む企業には是非、「コンティンジェンシープラン(災害や事故など想定外の事態が起きた時のために、事前に定めておく対応策や行動手順)」を策定し、それを実行するための業務手順や、場合によってはデータを表形式に出力する機能をシステムに用意して、Excel等パソコン単体で動作する汎用ソフトでの仮運用ができるように業務とシステムの設計をしておいて頂きたいのです。これらが整備されていれば、システム停止の際効率はかなり低下することは避けられませんが、最低でも顧客対応ができる、お金のミスが起きない、等の企業としての最低限の機能を維持することができるのです。

システム化が進めば進むほど、どの停止は企業の存続に関わる重大事に発展します。「かならずいつかは止まるモノ」と想定し、その準備を怠らない様にするべきですね。

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