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IT化経営羅針盤255 やめよう!正そう!「ごちゃまぜDX」

2025.08.19

世の中、私の予想に反して未だに「DX」という言葉が流行しています。この言葉は外来であることは確かですが、海外でもてはやされているという証はありません。実際、どこに行ってもデジタル化などはごく普通の手段やツールであり、「DX」という略語で話が通じるとも思えない状況です。おそらくですが、日本だけでもてはやされているバズワードなのでしょう。それもあって、「早晩消えるバズワード」と私は考えていたのですが、このDX信仰(?)はかなり根深くはびこっているようです。「はびこっている」などという否定的な言葉を使いましたが、日本企業のデジタル化は、数々のバズワードによって振り回されてきた、という印象が拭えないからです。ここで一つ一つ取り上げているときりがありませんので、今回はこのDXなる言葉が作っている混乱について、私見を述べます。

本来のDXが目指した世界とは?

「ごちゃまぜDX」への変遷

本来のDXが目指した世界とは?

本来DX=デジタルトランスフォーメーションは、意訳すれば「デジタルによる根本的な変革」です。これが会社に適用されれば、会社は根本的に変革するはずでしたし、社会に実装されればそれこそ町の風景が今とはまるで異なる世界になっていたはずです。

DXを進めるためには、「そもそも」に立ち返ったあり方の再検討がされるべきですし、そんな高尚な検討をする場に「この伝票が面倒で・・・」といった些末な議論など持ち込まれるはずがないわけです。

企業がきちんとDXに向き合うことができれば、(十分な資金が必要ではありますが)会社や商品の劇的な変化を伴う改革が進んでいるはずなのです。例えば、局所的では無く社内の様々なプロセスが自動化されたり、商品がデジタル化によって様変わりしたり、人力でサービスしていたものがデジタルに置き換わり、人間が提供できるサービスの遙か上をゆく利便性を提供するなどの変革です。これらは、おそらくそのほとんどすべてが会社の競争力や収益力の抜本的改革に直結するので、儲けの構造も大きく変わります。「XXXの業務を合理化しましょう」程度のレベルではない変革なわけです。

「ごちゃまぜDX」への変遷

本来のDXが目指すところがこのような「トランスフォーメーション」だったにもかかわらず、現在数多くのITベンダーが売っているDXツールは「改善レベルのデジタル化」にとどまっています。例えば、ワークフローシステムや、グループウェアをもってして「御社のDXを一気に進めます」といった文言が踊る告知をしています。これらのシステムを入れても、前述した本来のDXの姿など到底実現もできず、局所的な業務改善にとどまります。これらのシステムで大きな効果を上げられるなら多少目をつぶって「これもDXの一種ですね」と言ってあげても良いのですが、そう大きな効果が得られるはずもありません。多少捺印作業が減ったり、メモが減ったりする程度です。

本来のDXを実現するためには、それぞれの会社の事業内容やミッション、大切にしていることなどを元にして全社視点で総合的に考えなければなりません。「XXXツールを入れましょう」程度のことではこれらの本来のDXを実現することなどできず、もっと経営レベルで検討して進めなければならないのです。

それにしてもどうしてITベンダーはこの程度のツールのことを「DXツール」と呼んでしまったのでしょうか?私が考えるに原因は二つあります。

一つは、行政に原因があります。それまで「ITツール」と呼び、それらを導入するための補助金制度を拡充していましたが、それを「DXツール」と呼び変えてしまったのです。導入する方の企業が「DXをしなきゃ」と思い始めたわけですから、いつまでも「ITツール」という呼び方をせずに「DXツール」と呼んだ方が補助金の利用率が自ずから高まります。それもあって、呼び変えてしまったのだろうと思います。

もう一つの原因が、ITベンダーそのものの商売構造にあります。既存のソフトウェアを「常に時代の先端を走っているものである」というイメージをつけ続けなければならないため、DXというバズワードが出てきたところで「DXツール」と呼び変えるしかなくなってしまった訳です。それもあって、先に例をあげたワークフローやグループウェアなど、旧態依然としたソフトウェアを「DXツール」と呼ぶようになったのだと考えています。

このような混沌とした状況を私は「ごちゃまぜDX」と呼んでいます。ごちゃまぜですので、本当に良いソフトウェアから、昔ながらの伝統的なソフトまで全部DXと呼ばれてしまっています。導入しても大して効果があがらないものも商品の寿命を長らえるためだけに「DX」の冠を付与されているわけです。こんな状況は、ただ単に導入する側の企業を混乱させているだけで、好ましい姿とは全然思えません。

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「DX」はそもそも高尚な考え方を意味するものであったはずが、いつのまにか玉石混交のごちゃ混ぜツール議論になってしまった。もうこんなぐだぐだなバズワードに踊らされることはやめ、企業の変革に本当に貢献するデジタル化を目指すようにしたいものです。

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