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IT化経営羅針盤256 一気に製造生産性を高めるヒューマノイド

2025.08.26

人型ロボット「ヒューマノイド」については、このコラムでも何回か取り上げていますが、先日中国でヒューマノイドによるスポーツ大会(というか運動会といった方がイメージが合います)の報道がありました。テレビでもそのユーモラスな動きを映像で報道されていましたので、ご覧になった方も多いことでしょう。

動きが非常に滑稽だったり、まともな試合になっていないようなボクシングや徒競走(?)のシーンがありましたので、人によっては「おもちゃロボットの試合」に見えた方もいらっしゃるでしょう。また、日本でも毎年行われている学生によるロボット競技会「ロボコン」の延長として認識された方もいらっしゃると思います。実際、そのような紹介をしているテレビニュースもありました。

しかし、私が思うに、このヒューマノイドは製造業の現場を大きく変革するものである、しかもかなり近い将来に、と期待しているのです。その理由は以下の2点です。

・ヒューマノイドは人間と工具や働く場所を共有できる

・ヒューマノイドは価格破壊から始まる

ヒューマノイドは人間と工具や働く場所を共有できる

もうこれは書いた文章のままなので説明する必要はないかもしれません。現在開発されているヒューマノイドは標準的な人間よりも若干小型なだけで、体型は人間そのものです。二本足で移動し、二本の腕や手の指でものをつかみ、運べます。つまりドライバーやスパナーといった人間用の工具をそのまま使えるわけです。しかも、通路や作業スペースは、人間の作業員と共有可能です。専用の場所をもうける必要は無く、工場レイアウトやベルトの再設計は必要ありません。

一方、現在生産現場に導入が進んでいる産業ロボットは、通常移動手段は持っていませんし、○軸ロボットと称される「人間とは違う構造であることが大前提」です。従って、使う工具類も通常はそのロボットに特化した形のものをあてがわれます。さらに、協働型のロボットでも無い限り、安全上人間が立ち入らないロボット専用のエリアを作り、そこに設置されることになります。つまり、産業ロボットの導入には、当然ながらロボット本体以外のインパクトが非常に大きいわけです。

一方、産業ロボットの精密無比でスピーディな動きに対し、動画でみるヒューマノイドの動きは緩慢で、時々転倒するなどの不安定な様子が心配になります。あのように動きが遅いと「使い物にならない」と判断されてしまうこともあるでしょう。

しかし、良くお考え頂きたいことは、「ヒューマノイドは、動作は遅くても人間とは違って飽きない・間違えないので、作業を延々と繰り返すことが可能だ」という事実です。人間社員が退社した深夜、動作は緩慢でも黙々と働き続けるヒューマノイドがあれば、無視できない大きな成果を生むはずです。

さらに、このようなヒューマノイドは産業ロボットと異なり、生成AIと組み合わせて使うことで、自然文で指示を理解できることです。人体と同じ構造ですので、作業内容を教える人も、自分の体を想像しながら作業内容をヒューマノイドに教えれば良いので、とても楽に作業内容を伝えられるのです。専門の言語を使ってティーチングしなければならない産業ロボットに比べると、遙かに利用ハードルが低く、利活用のPDCAを回しやすい、ロボット投資の費用を早期に回収しやすい、という利点があります。

ヒューマノイドは価格破壊から始まる

さらに注目しなければならないのは、その価格です。ヒューマノイドはこれからB2B、B2Cのマーケットに投入されてゆく「まだまだこれから」の商品ですが、その価格がすでに破壊を起こしているのです。

一例では、中国のUnitree Roboticsが発表した「Unitree R1」は約80万円という超低価格での市場投入がアナウンスされています。つまり、市場が形成されるまえにすでに価格破壊が起きてしまっているわけです。

当然、競合他社を巻き込んで、どんどん低価格方向に誘導されることは必然です。私の予想では、技術的・ユースケース的に工場現場で使い物になるヒューマノイドは、2025~2026年で登場すると思いますので、その際にはすでに1体100万円を大幅に下回り、しかも競争原理が働いている、という状況になっているでしょう。

このような低価格で登場すれば、そのとたんに起きることは「スケールの拡大」になります。1台の高価な産業ロボットを導入するよりも、非常に低価格なヒューマノイドを何体も購入することにより、どんなに動作が緩慢なヒューマノイドであろうとも、複数台が同時に作業することで一気にスケールメリットが拡大することが予想できます。

こう考えると、安いヒューマノイドを単純作業に一気に投入することは、中小企業の有力な選択肢となることは必然です。

例えば、部品の自動ピッキングやベルトへの搬送役とか、例えば単純にネジ締め作業をし続ける作業、例えば製品に組み付ける前の大量のサブ組み立て作業など、人間がやるには生産性面で割に合わない作業は多いはずです。このような作業を安価なヒューマノイドが数台でよってたかって片付けてしまうような使い方もできるのです。

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ヒューマノイドは、現在中国製が市場を席巻する勢いがあります。このような中国製のハイテク製品を使う際には、情報セキュリティに十分気をつける必要があろうかと思いますが、それを工夫してリスク回避することは、DX未完の日本の製造業には必須のことだと思います。是非、セキュリティにポジティブに立ち向かい、今から「いつ、どんな使い方をするか?」という具体論で状況を把握するようにアンテナを高く上げていきましょう。

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