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IT化経営羅針盤260 一人情シス・ゼロ情シスのためのセキュリティの進め方

2025.10.14

情報セキュリティについては、このコラムでも何度も取り上げてきましたが、依然として多くの経営者や担当者から相談を受けます。つまり、対策の重要性は理解されているものの、実際の現場ではなかなか手が回っていないというのが現状のようです。

そこで今回は、専任の情報システム担当者がいても1名、多くの場合は他の仕事と兼務している社員が対応している――いわゆる「一人情シス」「ゼロ情シス」状態の会社を前提に、現実的なセキュリティ対策の進め方を考えてみたいと思います。

昨今、企業規模を問わずランサムウェアなどのサイバー攻撃が相次ぎ、ニュースでも頻繁に取り上げられるようになりました。ひとたび被害が発生すれば、業務停止による損失だけでなく、ブランド毀損、取引先の信頼失墜、顧客情報漏洩による損害賠償など、経営に深刻な影響を及ぼします。

それにもかかわらず、中小企業では「セキュリティ体制を整える余裕がない」「何から手をつけて良いかわからない」という声が後を絶ちません。当社のお客様の中にも、担当者が不安を抱えながら日々対応しているケースが多く見られます。今回は、そうした方々にとっての“現実解”を提示してみたいと思います。

  • 一人で抱え込まない方法:リスクの可視化と経営層との共有
  • セキュリティ対策は人的対策から

一人で抱え込まない方法:リスクの可視化と経営層との共有

「セキュリティは情シスの仕事」と考えている経営者は少なくありません。

しかし実際には、最初に着手すべきなのは高価なセキュリティ製品の導入ではなく、社員一人ひとりが守るべきルールを整え、徹底させることです。

つまり、技術的な対策よりも先に「人的対策」から始めるのが現実的であり、費用対効果も高いのです。

そして、このような全社的な取り組みを動かす責任は、本来「社長」にあります。

情シス担当者が自分ひとりで社内ルールを作っても、社長が理解していなければ実行段階で止まってしまいます。したがって、一人情シス担当者がまず行うべきことは、セキュリティに関する脆弱性を「見える化」し、経営層と共有することです。

理想を言えば、専門家を招いてセキュリティ委員会を立ち上げ、全社的な活動に発展させるのが望ましいでしょう。しかし、初期段階から外部支援に費用をかける判断は難しいものです。そこで重要なのが、部分的・簡易的でもよいので現状把握を行い、情報の取り扱いに関する会社の現状の危険度を社長に理解してもらうことです。

具体的には、まず「社内で扱っている情報の棚卸し」を行い、どの情報がどこに存在し、誰がアクセスできるかを整理します。その上で、次には部分的・簡易的ではなく、本格的に全社で情報の棚卸しを行うための“委員会活動”を起こしてもらうよう、社長に働きかけるのが良いでしょう。

このステップを踏むことで、情シス担当者が孤軍奮闘する構図を避け、会社全体でリスクを共有する土台が整います。

セキュリティ対策は人的対策から

繰り返しになりますが、セキュリティ対策は「技術的な問題」と誤解している経営者が非常に多いのが実情です。

この誤解を解かないまま進めると、「とりあえず機器を入れよう」「UTMを導入したから大丈夫だろう」といった方向に走りがちで、結果的に現場の負担が増えるだけで、根本的なリスクは減りません。

特に一人情シス体制では、こうした「上からの指示」が担当者のオーバーフローを引き起こし、結局何も進まなくなるケースが多く見られます。

それを防ぐための最も効果的な方法が、人的対策を最優先にすることです。

人的対策とは、社員が守るべき行動ルールを作り、それを教育やチェックで徹底することです。投資はほとんど不要であり、全社活動として推進しやすいという利点があります。

前段階で情報の棚卸しができていれば、それをもとに「どの情報をどのレベルで管理すべきか」を規定化し、社内ルールに落とし込む作業に進むことができます。

すべてを技術で解決しようとすると、コストも労力も膨らみ、途中で頓挫するリスクが高まります。

そうではなく、「人間ができることは人間がやる」方が結果的に早く、安く、効果的なのです。

社長にこの考えを理解してもらい、まずは人的対応で可能な限りやりきることが、セキュリティレベルを現実的に引き上げる第一歩です。

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会社のデジタル化を情シス担当者だけに丸投げしているようでは、DXはもちろん、基本的なセキュリティ対策すら進みません。

特に中小企業においては、「一人情シスが賢く立ち回る」ことが、実質的な経営リスクの低減につながるのです。

自分一人で抱え込まず、リスクを見える化し、経営者を巻き込み、全社で動かす。 これこそが、一人情シス・ゼロ情シス企業における現実的なセキュリティの進め方です。

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