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IT化経営羅針盤271 CES2026で再確認できた 日本のAI活用の変なところ

2026.02.17

数回CESの話題が続きましたが、このあたりで終わりにしようと思います。皆さんご想像の通り、もしくは報道の通り、今年のCESはどこに行ってもAIでした。これは行く前から主催者が表明していたことですので想像に難くないと思います。ただ、その「AI」の中身が日本とは大きくかけ離れた現状であったと、私は思います。

日本のAI関連展示会に行くと、いまだに生成AIが主役です。ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル、画像生成、動画生成。何かを「生成する」ことにフォーカスしたブースが目立ちます。そして多くは、チャットボットの自動化や問い合わせ対応の効率化といった用途に収れんしていきます。生成能力そのものを前面に押し出し、それをどう活用するかを語る構図です。画像や映像の生成AIもまた然りです。生成された「作品」を見て「AIもここまでできるようになったのか」と感心する一方、それを心待ちにしていた人は一部のクリエーターや、ファンにすぎません。万人やビジネスマンに有効な機能提供とはなっていない、もしくは、「生成」に縛られすぎなのです。

しかしCS2026では様子が違いました。いわゆる「生成AI単体」の展示はほとんど見当たりませんでした。代わりに目立ったのは、完成されたハードウェアやソフトウェアの中に自然に組み込まれたAIです。家電、産業機器、業務用ソフト、ロボット。どのプロダクトも、表にAIを掲げるというより、機能の一部としてAIが溶け込んでいます。ユーザーが意識せずとも恩恵を受けられる設計になっていました。

これはAI活用が一段成熟した証拠だと私は感じました。AIは特別な存在ではなく、製品価値を高めるための部品になりつつあります。エンジンの性能を誇示するのではなく、走りの滑らかさで勝負する段階に入ったと言ってもよいでしょう。

一方で、日本の状況はどうでしょうか。生成AIという新しい道具に過度に集中し、その可能性を語ること自体が目的化していないでしょうか。テキストや画像を作れることに驚き、そこから先に進めていない印象があります。結果として、グローバルの流れから見るとやや特殊で、やや弱い立ち位置に自らを置いてしまっているようにも見えます。

また、「AI=クラウドサービス」という常識も日本独特の認識です。おそらく「最新のITは海外からクラウドで提供されるもの」という輸入思考一辺倒なことがその原因ですが、パソコンで動く小規模なAIの活用があまり進んでいません。しかし、CESで話を聞いた海外のトップランナーたちは、「AIはその役割によってクラウドとローカル(エッジとも呼びます)の使い分けを初期段階で考えるべきだ」と明言しています。全体で仕組みを考える、いわゆる「システム思考」とも呼べる考え方ですが、このあたりが日本は決定的に弱いままです。

日本は深刻な人手不足、採用難、そして高齢化社会に直面しています。本来求められているのは、単に文章を生成するAIではありません。業務の中に入り込み、判断し、実行し、人の代わりに働く存在です。ソフトウェアの裏側で自律的に最適化を行うAIや、ロボットやヒューマノイドと結びつき、物理的な作業まで担うAIこそが必要とされています。

にもかかわらず、生成という入り口にとどまってしまえば、AIは便利なツール以上にはなりません。日本が目指すべき姿は、AIを一人前の社員として迎え入れることです。仕事の一部を任せ、成果で評価する。そのためには、業務プロセスそのものを再設計し、AIが自然に機能する環境を整える必要があります。 CS2026で見た世界は、その未来の断片でした。AIを前面に掲げずとも、確実に成果を出すプロダクト群。私たちもそろそろギアチェンジすべき時期に来ているのではないでしょうか。そのためには、粗を探して「まだまだだね」と断ずるのではなく、「何に使えるか」という観点でチャレンジするべきだと思います。ちょうど、会社に新人が入ってきたときに「何もできない」とあきらめるのではなく、将来の可能性を感じるように…。

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