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IT化経営羅針盤273 一人情シスを悩ませる「野良AIのモグラたたき」

2026.03.10

先日のことですが、50名ほどの企業で情シスを担当している方と世間話をしていたときのこと。「いやぁ、もうスタッフが勝手に生成AIを仕事に使っていて困るんですよ。私は兼務情シスなので、工数はそれほどかけられないのに、みんな勝手に無料のAIでログインアカウントを作り、勝手に社内資料をアップロードして分析させたりするので、本当に危険で・・・」とのお悩みを聞かされました。この「勝手に無料AIを使う」という行為を一部では「野良AI」と呼ばれています。管理者が許可していないAIの使われ方の総称ですね。

生成AIだけでなく、無料で使えるクラウドサービスを勝手に業務に導入することは、セキュリティリスクを増大させる結果となり極めて危険な行為なわけですが、一般社員はそこまでのセキュリティリテラシーを持ち合わせていないのが普通です。「便利だ」と思ったらすぐに1分やそこらでログインアカウントを作ってしまいます。そしてその便利さを知るともはや後戻りはできず、会社の社内情報をアップロードして使い始めることになります。

無料クラウドサービスでは、アップロードした情報の漏洩がリスクとなるわけですが、これがAIの場合もっとたちが悪いことに「学習に使われる可能性がある」という点です。AIがアップロードされた社内情報を使って学習してしまうと、その学習結果が他人のチャットで使われることにもなりますし、ましてや機密情報だった場合には社外にそれを広く告知するのと同じような結果をもたらします。

そのような、リスクに全く考慮すること無く野良AIにデータを食わせてしまう社員の発見と対策はは一名の情シス担当者では全く追いつきません。いくら「ダメ」と注意しても、そもそも社員のセキュリティに関する感性が低いままでは、「再犯」を犯す可能性も非常に高いままで、終わりの無いモグラたたきをしているようなものです。

これを抜本的に対策するには、まずは社内規程や機密データの棚卸しをしたり、教育等が定番ですが、そもそも一人情シスにそのようなことを進める工数も無く、結果的にかけ声で終わってしまうことが多いものです。 今までは一人情シスでもなんとかなっていたかもしれませんが、ここまでAIが広く一般に普及し、それへのアクセスが非常に容易になっている今、経営者はその使われ方、野良AIの発生に対して、今まで以上に注意を払わないといけない時代になったと意識するべきです。繰り返しますが、野良AI潰しは一人情シスの手には負えません。社長は、社員が便利でかつ安全にAIを使える環境を構築する責任を負わねばならないのです。それが便利な時代を謳歌する代償です。

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