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コラム / IT化経営羅針盤
IT化経営羅針盤49 「当社ではテレワークはできない」は先入観?身の丈テレワークのすすめ
2020.04.13
世の中ウィルス蔓延による自粛で経済活動が急激に縮小しています。この難局を乗り越えることができれば、経済は比較的スムーズに回復に向かうと信じていますが、とにもかくにもウィルス蔓延を抑制しなければお話になりません。そんな中、先日お会いしたある製造設備会社の社長さんが「当社は製造の会社なので、テレワークは一切できません」と断言していらっしゃったのが気になりました。おそらく、それは過去の先入観にとらわれていることによる誤解だと考え、そのあと現場や事務所を拝見する機会を頂きましたが「やはり」の状態でした。
どの会社もほとんど同じなのですが、製造系の会社さんの場合、「実際にモノを触って製造作業をしている、本当の現場」と「資材手配や生産準備をしているバックヤードのチーム」が分かれて分業しています。当然、数名でやっている小さな規模の会社であれば全員がオールラウンドプレーヤーとして動くため、前準備も手作業も全部一人がこなすケースは多いわけですが、10名を超える規模の会社であれば、大体の場合前述の様な作業分担をしています。
さてここで問題なのは、このような環境の会社ではたしてどうやってテレワーク化を推進するのか、ということです。当然「明日から君はテレワークだ」と乱暴に指示してもおそらく動きませんね。冒頭申し上げた「過去の先入観」とはこれを意味します。「人」に対してテレワーク化をすることは、まずその人がやっている業務をかなり整理しないとできません。地道に業務可視化を推進してきた会社であれば、これは比較的簡単です。ところが、昨今の緊急事態の中で急にテレワークを推進しようにもテレワーク化できる業務が特定されているわけではないので、いきなり壁にぶつかってしまい、「当社ではテレワークはできない」という判断になります。
現場を見学させていただけたこの会社も、業務が整理されているわけではなくそれぞれの人が何をやっているのか不明な中で、「いきなりテレワーク」はできない、というご判断をされていました。しかし、現場を拝見していてつくづく思いましたが、私にはテレワークできそうな業務がそこに見えていたのです。例えば以下の様な業務です。
・FAXで来る注文書をPCに手入力する業務
現代のFAXは紙で出力しなくとも、フォルダーにPDFで収納する機能があります。
このフォルダーにリモートでアクセスできさえすれば、そこに居なくてもPCに入力できますね。セキュリティを担保しつつ外部からフォルダーにアクセスすることは、ネットワーク技術者に依頼すれば比較的短期間に実現できることです。
・入力された注文情報を見て、資材発注計画を作る業務
これをやっている担当者さんのお話では、日中他の担当者から納期の問い合わせが頻繁にあるので、この業務は家ではできないと言っていました。しかし、そもそもデータはPCに入っていますし、社内からの問い合わせはWEB会議をつなぎっぱなしにしておくことでほとんど対応ができるはずです。
私もかなり昔、2つの拠点で部下を持ったことがありますが、両拠点間をWEB会議でつなぎっぱなしにすることによって、すぐに離れた拠点の部下を口頭で呼んで状況を確認したり、指示を出したりしていました。メールに頼るなどというスローで手間のかかる仕事をする必要は無いのです。
・設計業務
受注情報から、基本商品をカスタマイズして販売することもしている会社でしたので、設計担当者がCADを使った業務をしていました。幸いそれほど細かな図面をいじらなくても良い商品を扱っていたので、CADと言っても普通のデスクトップPCで動いている作画ソフトウェアに近いものです。
家からこのPCを操作できれば、操作性は少々落ちるかもしれませんが、ある程度は使えるはずです。
・製造指示
製造指示書は担当者がExcelで作っていました。それを印刷して製造の棚に置く業務です。
もしスタッカー付きのプリンターを現場に置くことができれば、スタッカーを棚代わりにしてそこにリモートで印刷をしかければ何も不自由は無くテレワーク化できるはずです。
他にもいくつかありますが、30分ほど現場とオフィスを見ただけでテレワーク化候補の業務が複数抽出できます。誓って言いますが、これは会社の規模がある程度大きければ「必ず」発見できるのです。
冒頭申し上げた通り、社長さんは「テレワークはムリ」と断言されていましたが、それは「人単位でテレワーク化する」ことを前提に考えているからムリなのではないでしょうか?業務単位で検討し、それを家に持ち帰る。それ以外のことをやるために、毎日ではなく週に1、2回出社する、もしくは出社担当を決めてその人にやってもらう、という工夫を何回か重ねれば、全員毎日定時に出社する必要はなくなり、同時在席人数を減らすことができるわけです。
是非、このような観点で見直しをして頂き、少しでもテレワーク化を推進頂ければ、早期にこの困難を乗り越えることができると思います。また、これをバネにして生産性を高めることもできますね。
ムリだと決めつけず、一回社内を見回してみることをお勧めします。
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