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IT化経営羅針盤96 業務ソフトは徹底的に使い勝手にこだわるべし

業務に使うソフトウェアの使い勝手。これにこだわり続けた組織の事例には学ぶところが大きいです。業務ソフトウェアは社員が毎日使うもの、社長が毎日会社の状況を把握するものです。その使い勝手が悪ければ当然業務効率は低下しますし、フラストレーションも大きくなる。思い通りのデータが出てこないので社長から面倒なレポート作成を指示される。最悪のケースではストレスが溜まり続けて具合が悪くなる社員も出かねません。今回はそんな話題で事例も混ぜながら持論展開したいと思います。

 

ある医療関係の組織のシステム化企画コンサルをしていた時のこと。システム化のリーダーはもちろんバリバリの医師の先生です。少し特殊な機能を要求されていたので、ゼロからシステム開発をすることとなり、要件定義作業の終盤に開発業者の方が第一次のモックアップ(ソフトウェアの模型)を持ってきました。先生は一通りの説明を受け、一見満足そうな表情を浮かべていましたが、その次の瞬間から矢継ぎ早にリクエストが出されました。例えば・・・

 

このボタンを押した後、次の画面に進むために、またボタンを押さないといけないのは単なる無駄

この画面で入力した情報を再編集かけるために再度情報を検索しないといけないのも無駄

この画面で入力を終えたら、ほとんど全てのケースでこのボタンを押すことになるのに、ボタンが遠い

ここの画面での入力文字種は英数字しか無いはずなのに、全角数字を受け付けてしまうのは無駄

 

等々・・・これらを書き取るのも難しいスピードで次々に指摘されました。数十項目を30分程度の時間で、です。初見でここまで指摘される方は珍しいのですが、先生のこのソフトウェアに対する取組みの熱さが伝わってきました。ソフト開発者の名誉を守るため多少擁護しますが、ソフトの画面設計は結構完璧だったのです。デザインも華美なくそつなく必要にして充分です。それに入力した後それをデータベースに反映しても良いのか最終確認をするのは重要な情報を更新する際の鉄則ですし、全ての機能ボタンを効率良く配置もされています。ユーザーインターフェースとしては一見何も問題ありません。しかし、先生は熱っぽくこう言いました。

 

これを入力する人は医師です。医師はものすごく時間を大切に使います。1クリック・1秒が重要なんです。

この画面はよく設計されていると思いますが、そのような人が使うものだということを考慮し、操作効率最優先で考えてください。マウスなどできれば使いたくないんです。

画面が美しかったり、クールな動きをする必要なんて無いんです。効率と操作性が最優先なんです…

 

初見でここまでのことを指摘された背景には、「効率が最優先なのだ」という確固たる信念があってこそ、なのでしょう。業務システムを使う人はあくまでも現場の普通の人達です。これらの人達が効率最優先で使い勝手に拘らない限り、使っていて使い心地の良い、ストレスフリーなシステムはできあがりません。逆説を展開すると、完成パッケージで販売されている業務ソフトは、どんなに高機能であっても自分達が思う通りの操作性は実現できないことが多いのが実情です。パッケージにはパッケージなりのノウハウや操作効率に関する過去の知見が蓄積されていますので、決して非効率なものを販売しているわけではありませんが、様々なユーザーからの要望が積み込まれているので、「最大公約数的なユーザーインターフェース」になっていることは事実です。それが自社の現場業務にぴったりと適合していればOKですが、それはそれぞれの担当者が自分達の効率やストレスをどこまで改善できるのか、という目できちんと確認してもらう必要があります。それを無視・軽視したりすると・・・。

 

今回の事例に登場する先生の様な熱を持ってシステム運用効率を考える必要性は非常に高いと思います。是非そのような観点で現在の御社のシステムを冷静に見直ししてみてください。社員の不平不満や残業の多さは単純にソフトの使い勝手の悪さが起因しているかもしれませんよ。

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