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IT化経営羅針盤98 システムを導入した後、やってはならないたった一つのこと

当社にご相談に来られる会社のほとんどが、過去何らかのシステムを導入して使った経験がある会社です。その中の多くが、数年程度というごく短期間のうちにシステムが使えなくなってしまった、という困りごとを抱えています。もしくは、「作った、動いた、使えなかった」という悲劇的結末を迎えた会社も少なくありません。それらの会社の社長と話しをしていると、そこには共通する1つの失敗があります。それは、「開発を終えてしまう」ということです。

もちろん、開発が「終了」すれば、一通り目指したものができあがるので、それは一つの区切りではあります。社長にとってみれば、多額のシステム投資をしたわけですから、

 

完成=終了である

すなわち、終了した後はお金はかからないモノである

 

とお考えになることはごく普通のことです。当然、完成した後に仕様と違う動きをしていることを発見した場合、ソフト開発業者との間の契約に基づいて、瑕疵担保責任の中で対処してもらうこともあるでしょう。しかし、通常これは無償ですので、社長が問題にすることはありません。使い始めて数ヶ月もすれば、おそらくバグもあまり出てこなくなり、一見安定した運用期に入ったように見えます。そうなると、開発会社とのコミュニケーションも疎となってゆき、社員誰しも新しいシステムのことを話題にすることも少なくなっていきます。

しかし、、、ご注意頂きたいのはここからです。このコラムでは何回か触れたことがありますが、「業務は生き物」です。時間が経過し、人が交代するに従って、業務内容は徐々に変化していきます。中小企業の場合、業務のやりかたをシステムに合わせる、という考えは持ちにくいため、現場の担当者が立ち話程度の議論で業務を変化させていきます。もちろんこれは事態の変化に対して柔軟に業務対応している、ということになるため、直ちに否定されるべきものではありません。しかし、それでもシステムの仕様との相違は徐々に広がっていきます。

それがいくつも重なり合ってきた時、「システムが不便で業務効率が上がらない」という顕在的な不満が爆発するのです。この段階になって、社長ははじめてシステムの改造が必要と感じ始めますが、実はこの段階では手遅れになっていることが多いのです。つまり・・・

 

普段、現場が何気なく業務を変化させ続けた結果、数年もするとそれをシステムに反映させようとすると大改造になるリスクが高くなる

 

ということです。このような状態が顕在化した時点でソフト開発会社に対応を依頼した場合、かなり高額な見積を提示されることが多いのです。時には初期投資金額の数割になってしまうことも珍しくはありません。ソフト開発会社が高めに見積しているわけではなく、作ったソフトウェアの前提を覆すような改造要求が出てくれば、当然見積金額も高くなってしまいます。想像していた以上の金額を提示された社長は困ってしまいますね。

この流れで何が問題だったのか・・・それは「開発終了とともに、継続した改造・改良の為の予算とその体制も終了してしまった」ことです。一回システムを導入してそれを使い続けるということは、新たに人を雇ったと同じことです。人を雇い入れれば給与などの経済的負担が継続しますが、システムソフトウェアに対して継続的にお金がかかる(かけるべき)という認識が経営者の中に無いことが問題です。

前述の通り業務は生き物ですから、それに対応するシステムも生き物でなければなりません。生き物であるシステムソフトウェアを食べさせてゆくには、最低限であってもある程度の予算が必要です。いわゆる保守契約です。保守契約にも種類がいくつかありますが、自社の為にソフトを開発してもらったのであれば、少額であっても開発工数を維持できる金額を支払い続けなければならないのです。

 この点を理解せず、ソフトの開発を「終了」し、保守作業も「終了」してしまったソフトウェアは餌を与えられない生き物と同じ状態なので、業務の変化に対応できず、いずれ使われなくなっていく運命となります。

 

いかがでしょうか?システムを入れるということは、生き物を社内に入れるということと同じなのです。または、車両を購入した場合にはメンテナンス費用も継続的にかかるのと同じです。「使い続けていくために、改造し続ける。その為に必要な予算と人員体制を維持し続ける」…これがシステム導入後に忘れてはならないたった一つのことと言えると思います。

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