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IT化経営羅針盤15 IT化プロジェクトの日程を甘くみるな!

2019.06.21

「鈴木さん、当社のシステム化の作業が滞っていて困っています。ちょっと相談にのってくれませんか?」というご相談を群馬県のある経営者さんから頂いたことがあります。そこでスポットコンサルを使って頂いて状況を見に行くことになり、冬の雪道を2時間ほどドライブしてお邪魔しました。ある機械部品の製造業さんでしたので、社屋の主要部分は倉庫と機械工場です。社員も製造現場の方が30名程度、事務員の方や総務部門の方が10名程度の組織でした。
導入したいシステムはパッケージ型で、私がお邪魔した際にはすでに操作説明も終わり、立ち上げの段階に入っていました。
その会社の総務担当の取締役から経緯を色々伺い、IT業者さんから提示を受けた資料や、実際の画面等を拝見したのですが、一つ根本的におかしい資料を発見しました。それはプロジェクトの日程表です。細かな説明はここではできませんが、例え話で解説してみます。
ITとは全く関係ありませんが、自宅にブロック塀を立てる、という計画を考えてみます。一般的にその日程(手順)は以下の様なものになります。
手順1:測量して図面を作る
手順2:必要な資材と工数を読み、見積を作る
手順3:コンクリートの基礎を作る
手順4:ブロックを積む
まあ、これでもかなりはしょった日程手順ですが、どれ一つとして順番を逆にすることはできませんね。
要するに一つ一つの作業には、それを実施する為の前提となる「先行して終了していなければならない作業」があるのです。長ったらしいので、これを「先行タスク」と呼びます。
システム導入でも当然様々な手順(=タスク)とその先行タスク関係が数多く存在しています。
この会社さんに見せて頂いた日程表には、この「先行タスク」の考えを無視した記載がいくつか発見できました。
そして、お邪魔した際に問題となっていたのが以下のタスクだったのです。
・・・前半の日程は省略・・・
手順11:サーバー機材の搬入・設置
手順12:サーバーにソフトウェアのインストール
手順13:実務データの入力(旧システムからの移動)
手順14:稼働テスト
・・・以下、省略・・・
上記の何がおかしいか解りますか?
手順13ですが、
そこで入力する(旧システムから移動する)データ

 準備する作業
が明示されていないのです。
ご存じの通り、システムには大量のデータが投入されています。これを新しいシステムに移動しないといけませんが、必ずといって良いほど、旧システムのデータを色々と事前加工しなければ新システムに入力はできません。
例えば、顧客情報の中にある社名一つとっても、
旧システム:ベルケンシステムズ株式会社
新システム:社名 ベルケンシステムズ
法人格 株式会社
法人格位置 後
のように、データの登録の考え方が全くことなる場合があります。上記の場合、現在のシステムに登録されている社名から法人格を取り去り、その位置のデータを付加しないといけません。更に現行のシステムの稼働期間が長ければ長いほど、これらのデータにはゴミが入っていたりします
例えば、、、
社名:ベルケンシステムズ株式会社(旧AB有限会社)
等です。もうお気づきかと思いますが、新システムにデータを投入できるようにする為に、「ヒトが頑張ってデータを操作する作業」が必要となります。データが膨大な場合、
1ヶ月担当者の仕事を止めてがんばらないといけない
ということも起きます。ところが、日程表で記載されていた手順13には、そのデータを準備する「先行タスク」が考慮されていなかったわけです。
この会社さんの場合、IT業者さんから「サーバーは導入しました。ソフトウェアも動く様になっています。操作方法もご説明した通りなので、後はデータを投入してください」と言われ、「えっ?」となったのです。
当然、大慌てでデータ整備に取りかかったのですが、急ぎで対応しないといけない為、担当者を現状の業務から外し、一定期間専任化してなんとかする、といった状態に陥りました。もっと早い段階でこの作業が必要であることが解っていれば、少し期間を長く確保して少しずつ作業するなど、色々な対策が打てたはずです。
もちろん細かく綿密な日程を構築できるプロジェクトマネージャが居るIT業者さんも多く、上記のようなリスクを回避してくれる場合もあります。しかし、優秀なプロマネでも、必ずミスや見落としがあるので、日程を受け取った側もきちんと内容を確認・把握し、自分達の仕事としてこなしてゆくことが出来るか検討する責任があるのです。
今回のご相談は、これがうまく機能しなかった事例です。

システム導入の日程は、専門用語も混じっているため理解と咀嚼が困難なものです。例えソフトウェア開発の経験がある技術者を社員として採用して担当に据えても、日程を読み解く技能を持っていないことが多く、日程確認で失敗する可能性をぬぐえません。
IT業者さんから米粒の様な文字で書かれた日程を渡され、それを鵜呑みにしてしまうことがいかに危険なことか、ご理解を頂ければ、システム導入プロジェクトの成功に向けて1歩前進です。
日程を提示された際、決して「ふーん」で済まさず、細かい疑問点を全部ぶつけて漏れや先行タスクの存在、前後の入れ違いなどの矛盾を発見し、スムーズなプロジェクト推進ができるようにして頂ければと思います。
うまい日程の作り方とか読み方については、いずれ時期を見てご説明することにしますね。

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