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コラム / IT化経営羅針盤
IT化経営羅針盤249 中小企業がAIに取り組まねばならない4つの理由
2025.06.17

ChatGPTをはじめとする生成AIの登場から数年が過ぎ、AIの存在は私たちの身の回りにかなり入り込んできました。個人としても無料の生成AIがいくつか存在し、このコラムの読者でも大半の方が使っていらっしゃるか、試してみたことがあると思います。また、企業ユースでも、進んでいる企業ではさまざまな業務にAIが導入され始めており、ニュースでも「AIがXX業務を自動化した」とか「人材採用の第一ステップをAIに任せる」といった話題を目にする機会が増えてきました。
しかしその一方で、多くの中小企業では「AIなんて、うちにはまだ関係ない」「現場は忙しいから新しいことをやっている暇がない」と、導入に二の足を踏む声が少なくありません。ところが、そうした企業にこそ、AIの導入は急務なのです。今回は、中小企業がAIに取り組まなければならない4つの理由を整理し、最後にその考え方のポイントをお伝えしたいと思います。
理由1:人手不足は解消しない
まず最大の理由は、労働力不足が今後ますます深刻になるという現実です。人口減少が続く日本において、若い労働者の確保は年々難しくなっています。特に中小企業では、大企業と人材獲得競争をしても勝ち目がありません。さらに、地域によっては高齢化の進行によって地元の若者がそもそも減っており、求人を出しても応募ゼロという事例も珍しくなくなってきました。
このような状況で、人手不足を「採用」で解決するのはもはや困難です。解決策は、「今いる人材でどうやって回すか」、「少ない人手でどうやって生産性を維持するか」にシフトしていかざるを得ません。そして、この課題に取り組む上でAIは強力な武器になります。たとえば、事務作業の自動化、書類作成の補助、社内問い合わせ対応のチャットボット化など、既に実用的なツールは多く存在しています。
理由2:ロボットは普及価格帯になる
AI単体だけでなく、AIを搭載した各種のロボットや設備も、ここ数年で急速に開発に取り組む企業が増え、その結果としてあと数年で中小企業にも手が届く価格になってゆく見込みです。かつては「ロボット=大企業の設備投資」というイメージがありましたが、今や中小企業向けの協働ロボットや自律搬送ロボットが、パート社員の給与にして1年分にも満たない金額で使える時代になってきました。
こうしたロボットの頭脳には、AIが搭載されており、カメラ画像をもとに動作を判断したり、人とすれ違ったら停止するといった柔軟な挙動も可能です。ロボットは「自動化の象徴」としてだけではなく、AIによる省力化・安全性向上の実現手段として中小企業でも十分に手が届く存在になっているのです。
理由3:技能実習生に高度な役割をこなしてもらわねばならない
製造業を中心に、多くの中小企業では外国人技能実習生が貴重な戦力として現場を支えています。しかし、制度変更の影響で今後は「単純作業だけを任せる」運用が困難になります。単純作業は上記のとおりAIが制御しているロボットに移行する傾向ですので、そこで手が空いた実習生にはより高度な業務理解やコミュニケーション、判断が求められるようになります。
理由4:単純に…時代において行かれる
世界中にAIを使う企業ばかりになってもまだ、自社が使わない場合、その「差」は顧客から見ても明らかになってきます。問い合わせへの返信が早い企業、見積書の提出が速く正確な企業、製品説明が丁寧で分かりやすい企業、夜間でも問い合わせにリアルタイム対応する企業など…。これらの裏には、必ずや生成AIが使われていることになるでしょう。
つまり、AI活用は社内の効率化にとどまらず、取引先や顧客からの評価にも直結する時代になっているのです。逆に言えば、自社が何もしていなければ「取り残されている感」が社外に伝わってしまうリスクもあるということです。AIはもはや「一部の企業のもの」ではなく、すでに「自社の周囲に存在しているもの」なのです。
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「これぽっちしかできない」AIであっても、果敢に使い道を考える柔軟性を持ちましょう。AIに対する誤解の一つに、「完璧に仕事をこなす魔法のツール」だという幻想と、「今のAIにはこれしかできないから、役に立たない」という極端な諦めがあります。どちらも間違いです。
確かに、現時点のAIにはできること・できないことがあります。たとえば、ChatGPTに現場の機械を修理させることはできません。しかし、「修理マニュアルを要約して、非技術者でも理解できるようにする」「修理記録を文章化して残す」といった、機能を限定した補助的な業務では、非常に高い効果を発揮します。
今後、AIの進化スピードはさらに加速し、「これしかできない」の中身も日々変わっていくでしょう。そのとき、企業として問われるのは「今のAIの能力を前提に、それをどう活かすか?」という視点です。 つまり、「AIはまだまだ」と突き放すのではなく、「今のAIをどう使えば、今の自社の課題を減らせるか?」という発想に切り替えることが、これからの企業経営には求められているのです。
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