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IT化経営羅針盤34 商品がお客様と会話する「仮想営業」のススメ

「仮想営業」というと、なんだかAIチックな話題と誤解されそうですが、本当は実に現実的な概念です。それは、

自社の社内のシステムと、販売した商品やサービスが通信で接続され、お客様やユーザーに対して商品が語り出す

というものです。これは夢ではなく、インターネットが普及し出した時代から普及が始まっていることです。
例えば、皆さんのオフィスにあるプリンターや複合機は、消耗品の残り量が基準値を下回れば、「消耗品を注文しますか?」と聞いてきます。そのメッセージをPCの画面にポップアップさせ、購入への導線に直結させているメーカーもあります。あるいは、通信専用のSIMカードなども、残り通信量が少なくなってくると、その通知だけではなく追加通信料購入を提案してくるものもあります。この二つの事例で明確なことは、

商品が現状を通知するだけでなく、売り込み提案もしている

ということです。更に、工場で動いている工作機械なども、通信機能を持つものが増え、その稼働状況がリアルタイムにメーカーに送信され、その後の保守サービスに連動しているものもあります。通信機能が安価に使える様になった現在だからこそ可能となったサービスです。
しかし一方で「このような施策は、大企業だからできるものではないのか?」との指摘も聞こえてきそうです。確かに一昔前は、前述の様な機能を商品に追加しようとすると、それに関係するソフトウェアは全部自前で開発しなければならず、通信機能追加の為の部品代増も多額だった為、資金の豊富な大企業だけができることでした。しかし、今はそれほどお金のかかる施策ではなくなってきています。少し技術的な話になってしまいますが、例えばブルートゥースといった近距離通信技術を使えば、数メートル先のPCやスマートフォンとデータのやりとりをすることが可能で、その部品代も非常に安価です。安定的に電源が確保できるところで動く商品であれば、WIFIモジュールを内蔵することも安価にできます。月額課金でお客様に使って頂く商品であれば、IoT用のSIMカードも選択肢に入りますので、電源さえ確保できるところで使うなら、相当山奥でも使えそうです。IoT用に普及期に入っているSigfoxやLoRaWan等も選択肢に入ります。このように、通信技術については比較的安価な手段の選択肢がたくさんありますので、自社の商品に見合ったものをその中から選択できる時代です。
商品に通信機能を持つことができるようになったら、次に検討することは社内のシステムと商品との接続を前提とした施策企画です。どんなことをお客様に提供できればお客様の成功に繋がるか、深い検討が必要となりますが、その検討の為のキーワードは、「お客様の成功に繋がる」・「事前にXXXする」です。例えば、「故障する前に有料サービスを提案する」、「なくなる前に消耗品の購入を提案する」、これらの際にお客様の過去の使い方を社内のソフトウェアで自動的に分析した上で「オプションの機能を推奨する」といったことを、「商品自体がお客様に表示する・通知する」という機能を考えるのです。
一回商品がお客様と直接会話する機能ができあがれば、それはプラットフォームとして機能しますので、後で様々な付加価値を追加することも可能です。更に、営業担当者やサービス担当者などの人間との分業も可能となりますので、365日お客様に寄り添っている仮想営業担当者として機能するのです。正に営業革命と言えるパラダイムシフトですね。

日本の会社の多くは、このような「押しの強い営業機能を持った商品やサービス」をなかなか作りたがらないというきまじめなところがありますが、そのように遠慮している内に海外のメーカーが攻め込んできてしまうかもしれません。更に前述の通り、使えるテクノロジーの価格低下と選択肢の増加が続いていますので、昨年まであきらめていたことが今年はできる、という状態です。是非そのような新しい安価なテクノロジーを使って、御社の商品やサービスを「仮想営業」にできるように検討頂ければと思います。

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