代表コラム

「IT化経営羅針盤」 毎週無料配信中
中小企業のIT導入法や事務自動化方法を実践的に解説しています

IT化経営羅針盤33 データが整理されていない会社はDX時代から取り残される

「IT化すれば会社の情報が全部データ化されて管理がラクになる」
確かに、その側面は強くありますし、そのような印象を持たれてしまうことも事実だと思います。様々なデータがシステムに載りますし、それを更にとりまとめてボタン一発で表示したりグラフ化したりできます。更に、そのデータを取り出して多元的に分析したり、経営指標がいつでもリアルタイムに閲覧できたりする、ということが実現可能ですので、このご意見は「真」とも言えます。しかし、その前に、「現実の実務データをシステムにどうやって載せるのか?」という超難問を乗り越えなければなりません。これが実に難しい企業さんがかなり多くあります。
例えば、ある企業が取り扱っている商品情報について考えてみましょう。商品情報の観点で当社のお客様をおおざっぱに分類すると、以下の2つに大別されます。

(A)組織としてフォーマットを定めたExcelなどで商品や部品の情報がきちんと整理されている会社

(B)商品や部品に関する情報はすべて個人に依存しているか、組織単位ごとにバラバラに管理している会社

当社の経験では、両社の割合は(A)<(B)です。極端に言えば、(A)<<(B)かもしれません。
(A)のタイプの会社の場合、仕事をすべて人力でこなしていたとしても、販売管理や生産管理業務のシステム化は非常にスムーズに進みます。それは、「データがきれい」だからです。
前回のコラムで「5Sとシステム化成功には関連性がある」と説明しましたが、「データがきれい」という状態は、5S管理の結果であることも多いのが実情です。「データがきれい」であれば、データベースにその情報を登録することが容易となり、システム化費用も比較的低額に抑制することができます。
一方(B)の会社のシステム化プロジェクトは混乱と困難の道をたどります。データベースに登録できるようにするためには、まず存在するデータのフォーマットを合わせて整理しなければなりません。この作業はソフトウェアがちゃちゃっとやってくれることは殆どなく、たいていの場合は人間が頑張ってやらないといけない作業になります。データ量が多い会社の場合は、その作業だけで数ヶ月かかることもざらにあります。更に、合わせたフォーマットが本当に実務で運用できるのか、検証も必要です。実際、EC通販業のK社さんが販売管理システムの導入を進めたとき、扱っている商品のアイテム数が多かったこともあり、商品カテゴリー毎にバラバラのフォーマットで書かれたExcelの商品台帳を統一する為に、専任担当者を任命して3ヶ月かかりました。更に、新しい統合フォーマットのExcelを使って現場実験したところ、帳票に出力するための項目が少なかったり、今まで「顧客住所」と呼んでいた情報が「顧客情報2」になったため、現場からの反発を招いたり、実に様々なストレスと負荷との戦いになりました。

このようにシステムの導入の為には、そこに入れるデータがきちんときれいな状態になっている必要があり、そのタスクがソフトウェアの開発や導入のずっと前の先行タスクになるわけです。せっかくシステムの導入を決めたとしても、そのタスクが終了しない限り、基本的にはシステム開発会社は待ちの状態に入ります。

この「データをきれいにする」タスクはとにかく時間と社員の手間がかかりますので、もし皆さんの会社が現段階でシステム導入の予定をお持ちで無いとしても、将来の為に進めていくべきです。皆さんの会社のデータに関する状況をもう一回点検し、こつこつときれいにしていく活動を展開することをお考え頂ければと思います。これをしっかり進めていくと、きっと「システム化せずとも色々効果が上がった」という体験もできると思いますよ。

将来のDX化の為にも・・・

無料メールマガジン登録

経営者へのIT化ヒントが詰まった代表コラム「IT化経営羅針盤」や、各種ご案内をお届けします。ぜひ、ご登録ください。