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コラム / IT化経営羅針盤

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IT化経営羅針盤32 IT化ができる企業は5Sができている。できない企業は現場が散らかっている。

2019.11.18

企業様からご相談を寄せていただいた場合、必ずその会社の現場を見せて頂くことにしています。当社のお客様は製造現場や倉庫をお持ちの会社が多いので、ある時はヘルメットと安全靴・保護メガネで現場を歩きますし、倉庫では行き交うフォークリフトを避けながら、またある時は防塵服を着てクリーンルームの中で、在庫や置き場所、作業員の動きなどをつぶさに見学します。よそから見ると普通に工場見学しているかのように見えると思いますが、実は「現品流動管理をどのようにやっているか」の視点でじろじろと見ています。その視点で拝見していることを社長に伝えると、「いやいや、当社はISO取得企業ですから、現品管理は帳票に基づいてしっかりやっていますよ。」と、暗に「専門外の鈴木さんに何がわかるの?」と言いたげな顔をされることもあります。
その後、実際のコンサルティングに入り、システム導入に向けた動きを取っていくわけですが、当然難航する会社とそうでない会社に分かれます。このような経験を経て、腹で解ったことがあります。それは、
5Sが行き届いている会社はシステム化が容易
だということです。釈迦に説法ですが、5Sとは「整理整頓清掃清潔しつけ」の頭文字で、モノを扱う会社であれば当然意識して永遠に取り組み続ける命題です。それをIT導入コンサルである私がクチにする違和感があると思いますが、実例で説明致します。

例えば、A社の倉庫でのこと。
現場の一時保管場所に整然とモノが並べられていました。正に整理された状態で、一見5S上の問題は無さそうです。そこで、仕掛かり品と表示されているモノを拝見しましたが、当然これにも現品票が付いていました。それも一見きちんと記録された帳票に見えます。しかし、良く見ると添付図面に手書きで何カ所か追加工した旨のことが書かれていました。しかし、現場リーダーの方に聞いても、その現物がどのような状態なのか説明できませんでした。詳しくは担当の作業員に確認する必要があるそうです。つまり、
現品票が必要な情報を持っておらず、その品物を正確に表す現品票になっていない
ということです。これでは、「一見5Sができている様に見えるが、必要なものを誰でもすぐに取り出せる状態」ではないので、遠慮無く言えば「5Sごっこをしていた」とか、「モノを示す情報と現品が食い違っており、結果的には散らかり放題の現場」だったということになります。
このA社の社長は、作業員一人あたりの生産性向上を命題としたIT活用を考えておられましたので、なおさら「現品管理が担当者に属人化している」状態は看過できません。
そこで、このA社へのコンサルの結果、モノと工程、生産計画、在庫管理の流れ作りを最初からやり直すことに重きを置いた社内活動に至りました。社長は「IT導入が必要」だと主張していたのに、その前に社内でやるべき大きな仕事があった、という結末です。その活動は並大抵のことではなく、およそ半年間、担当部門の責任者に負担をかけ続けることとなりました。
しかし、苦労してモノの流れを再設計したおかげで、その後のシステム化は非常にスムーズに進めることができました。

もし、A社が5S状態をそのままにIT化を進めていたらどうなっていたでしょうか?おそらくそこには以下の結末が待っていたことでしょう

ケース1:要件定義段階でプロジェクト崩壊
ケース2:システムに合わせるため、自社文化とは違う方針で現場と流動管理を大改造
ケース3:システム化不能(IT業者も敬遠)
ケース4:ソフトウェアは導入できても運用できない状態に陥る。

どのケースに陥っても、社長が目指していた「作業員一人あたりの生産性向上」の実現からはほど遠く、うまく行っても「ソフトウェアを動かす為に人が頑張る」状態になるだけだったと思います。

5Sとシステム化成功の関係は、他にもいくつもあります。折に触れてご説明したいと思いますが、モノを表す情報を含めた5Sができていないと、システム化は必ずつまずく、ということは是非ご理解頂ければ幸いです。

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