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IT化経営羅針盤46「理念への拘りすぎ」はIT化の妨げ、「議論の具体性」はIT化成功への近道

「鈴木さん、当社は中期経営方針の中で、最新のIoTを使ったDX化による売上拡大を目指すことにしました。でも、どこから手を付けて良いのか全く決まらないのですが、どうすれば良いのでしょうかね?」
これは、ある交流会の席上で中堅の製造業の取締役の方からの酔った勢いでのお話です。アルコールの力を借りて饒舌にお話を頂いた訳ですが、それにしてもとにかく経営層としての様々な「想い」がたくさん並べられ、「それは楽しみですね」というレスポンスしかできませんでした。しかし、この会社が本当にそのような「想い」の議論ばかりを社内で進めているのであれば、これはもうIT化活動は停滞に向かってまっしぐら、という状態としか言えません。
釈迦に説法ですが、当然経営には理念や想い、高い理想や社会貢献への強い意志が無いと、人も物も集めることができず、遅かれ早かれシュリンク・消滅へ向かいます。その為、経営者は、その高い理想を現実のタスクとして分解し、より高いところに自社を持ち上げる努力をします。これも当たり前のことですし、世の中すべての企業経営者が苦労してやっていることだと思います。
ところが、特にITにはあまり熱心に取り組んでこなかった、取り組む必要性の優先順位が低かった企業が、突然IT化やDX推進といったソフトウェアがらみのことを考え始めると、前述した創業時の理念や想いと、現実のシステム系テクノジーとの間に、大きなギャップがあることに気がついたり、最悪の場合はギャップに気がつかずに導入するべきテクノロジーについての議論を無理矢理進めてしまいます。つまり、

経営の想いを実現するために常にタスク分解してアクションをとっていたのに、IT活用の方向ではタスクに分解することができず、具体的な議論にならない状態に陥りやすい。無理に具体化させようとすると、机上の空論が続いてしまう。

ということなのです。簡単に言い切ってしまえば、「経営理念をITの力で実現するための具体的活用方法が解らない」ということになります。そうなると、

当社には、デジタル系のテクノロジーの知見がある社員がいないのがいけない

とか、

これは自分たちだけで進めることは無理なのでは無いか?事例を豊富に持っているIT企業に声をかけてみよう

といったお話になってきます。前者はざっくり言えば正しいのかもしれませんし、中長期的にそのような人を採用するか育てる必要があるわけですが、何しろ時間がかかります。今年来年というスパンで具体的に推進するとは相当難しいでしょう。
一方で、後者は外部に頼る動機として間違っています。そ の企業が自社のことを知り尽くしているわけではありませんし、経営方針や想いを託しても、それを腹に落として具他案を提案することは短期的には無理があるからです。当然、他社事例などは豊富に持っているIT企業ですから、声をかければ当然対応してくれますし、他社事例の説明もしてくれるでしょう。類似企業の成功事例などの話も参考になるかもしれません。しかし、そこまでです。自社の想いや理念を実現するIT化に向けたタスクという観点で、ばっちり自社にはまることがいきなり提案される、ということはまずもってありません。
では、どうすれば良いのでしょうか?答えは比較的シンプルです。DX推進によって収益拡大を目指すということは、製品やサービスが少なくとも今よりは良くならないといけないので、答えはお客様が教えてくれる可能性が高いのです。どのようなお客様が、現状の製品やサービスをどうして選んでくれているのか、潜在化しているかもしれない不満を可視化すべきではないか、クレームだけでなくお褒め頂いていることは無いのか、クレームに対して謝っているだけのことは無いか、といった視点で現状を分析すると、どんな会社でもかなり多くの課題や問題が明らかになってきます。そして、その中から改革プランや改善計画の必要度が高い順に優先順位化し、それを実現できそうなITを探す、といった順番で検討を進めるのです。この段階に至ってはじめてIT企業は腹落ちする提案を持ってきてくれるでしょう。

いかがでしょうか?抽象的な理念や想いだけでDX推進の議論をしていませんか?いくら議論しても結論や具体的なIT計画ができない、といった状態に陥っていませんか?そんな時にはまずお客様から答えを教えて頂く様なアクションを取られてみることをお勧めします。きっと目からうろこが落ちる事実が発見できますよ。是非やってみてください。

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