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IT化経営羅針盤61 身の丈にあったDX化を考えよう

先日、ある会社の社長さんから「当社もシステム化をしようと思い、システム会社に提示する提案依頼書を作成した上で複数の会社から提案を受けたところ、XX円の見積が提示されてきました。正直なところ高すぎると思い、半額程度への値下げを要求していますが、このような場合どうすれば良いのでしょうか?」というご相談を受けました。その提案依頼書をざっと拝見したところ、よくみかける「あるある」な内容でした。それは、

身の丈を超えた要求を出している

ということです。「身の丈を超えている」ということを経営者さんに直言することは失礼極まりないことであるとは思いますが、はっきり明言しないと間違いによる傷がどんどん広がってしまうので思い切って話しをしました。
その提案依頼書に何が書いてあったか、というと・・・

○解決したい課題がきちんと整理してまとめられている
○その優先順位も明確化されている
×全社の業務全てについて要求してしまっている(1)
×いっぺんに「あるべき姿」への変革ができるシステムを要求している(2)
×「あるべき姿」の業務フローが夢物語(3)

という状態でした。良い点についてはともかく、悪い点・気になる点について少し解説しましょう。
(1)全社の業務全てについて要求してしまっている
確かに要求を出す際には「あれもこれもなんとかしたい」という意識になりがちですので、これを否定はしません。しかし、経営者としてはメリハリを持つべきであり、「どの業務分野を伸ばせば会社の成長につながるのか」の観点での選別をしなければなりません。これをしない状態で提案を依頼されたIT企業にとっては、「かなり広範囲に機能を要求されている」と認識するのが当たり前であり、それにミートする為にあらゆる機能を総動員で提案するに決まっています。勢い、規模の肥大化を伴う提案にならざるを得ません。
(2)いっぺんに「あるべき姿」への変革ができるシステムを要求している
あるべき姿は理想です。それに少しでも早くたどり着きたいと思う気持ちも理解できます。しかし、現状とあるべき姿の間のギャップをどうするのでしょうか?理想到達点としてのあるべき姿はどうしても「今までできなかったことをいっぺんにできるようにする」モノとなりがちです。それにより、莫大な機能を一度に実現する様に見える提案依頼書となってしまいます。一方で会社組織はその身の丈を大幅に超える様な激変には対応できません。中小企業にとっての改革は、激変ではなく継続的な変化の連続とお考え頂くべきです。
(3)「あるべき姿」の業務フローが夢物語
きれいなあるべき姿を描くことは比較的簡単です。現状に何か課題があれば、それがきれいに跡形も無く消える様な業務の流れをどうしても狙いがちです。しかし、そこにたどり着くまでの間に、様々な例外処理や人に依存している仕事を全部整理して再方向付けしなければなりません。それを跡形も無くする為には実に地道な努力を必要とすることになりますが、その泥臭いところが全部そぎ落とされた形で書類化されてしまうと「それは夢物語ですよね」という内容になってしまいます。しかも難しいことに、社内事情をなかなか理解できない社外のIT企業にとっては、それが必達目標に見えてしまうので、夢物語を実現するためのツールを提示してしまうことになるのです。

いかがでしょうか?(1)~(3)に該当する要求をした場合、それは「会社の身の丈を超えるシステム化要求」となるのです。万が一これをそのまま進めてしまった時・・・それはそのシステムを稼働させることができない、という大失敗につながります。こんな失敗をされる企業をもう見たく無い、というのが当社の認識です。

 

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