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IT化経営羅針盤62 ITによる自動化は従業員福祉と考える

当社のコンサルティングを受けた社長さんの多くが、コンサル終了時にアンケートに記入頂く感想の中に以下の様なご意見が多くあります。
「このコンサルティングのおかげで、社員の精神的負担を減らすことができました。」
これはIT導入コンサルティングという当社のサービス名称とは少しかけ離れた感想に見えます。しかし、実はIT導入と社員の精神的な負担との間にはかなり強い相関関係があるのです。
多くの経営者さんに「IT化の目的は?」と聞くと、「合理化」とお答えになります。確かに合理化と言う言葉は生産性向上に直結するワードであり、これを果たすことができれば収益を改善できそうです。しかし、その合理化という言葉には実に様々な目的と効果がごちゃまぜになっていることが多いものです。例えば、、、

Xの作業時間をYだけ短縮させる
3人かかっていた作業を2人でできるようにする

といった様なことが「合理化の代表的な目的・目標」と言えるでしょう。しかし、少し考えてみると、これで「合理化」できた仕事をやっていた社員にとってみれば、それはいったいどのような意味を持つのでしょうか?この作業をやっている人たちが例えばパートやアルバイトであれば、「合理化=雇用不安」となります。
さらに、この作業を長年やってきた誇り高き社員にとっては、社長が突然「君の仕事をITで合理化するからね」と伝えられても、反感は持たないにせよ共感することはおそらくありません。そこには自分が長年やってきた仕事が一番良いものである、という自負が少なからず存在するからです。しかも、「同じ仕事を長年やってきた」という状態の場合非常によくあるのが「業務の属人性」です。いわゆる「この仕事はAさんにしかできない」とか「この仕事はAさんにお願いすればものすごく早い」と言われている仕事です。ここまで来ると、その担当者は自負もありますし、他人から仕事のやりかたについてあれこれ言われることも好みません。ただ、心の中では「この仕事は自分がやるしかない。だから失敗できないし、休むと迷惑をかけるので頑張るしかない。」という呪縛にとらわれます。
経営者さんの中には「当社にはそのような人は居ません」という方もいらっしゃると思いますが、当社のお客様のほぼ全てにこのような社員を見かけるのが実態です。経験上、「設立直後の組織では業務の属人性は無いが、1日、2日という単位で属人化は着実に進行する。属人化は生き物みたいなもの。」と考えています。
さて、このような業務をIT化する際、社長はどう動けば良いでしょうか?単純に「君の仕事は明日からシステムへ・・・」と言い出した瞬間に前述の様な「反感は持たれなくても共感は得られない」状態が顕在化します。抵抗勢力になってしまうことも少なくありません。社員が家族のようになっている居心地の良い会社であればあるほど、システム化への反感が顕在化しやすく、早々に諦めてしまう社長は非常に多くいらっしゃいます。しかし、それではコトは全く進みませんね。今まで通りで何も変えることができません。
ではどうすれば進むのか。それは社員への「IT化は社員への思いやり・福祉なのだと考える」に他なりません。業務のIT化は、業務の可視化から始まることはこのコラムでも何度も話をしています。よく、「業務の可視化作業はIT業者がやってくれるもの」という勘違いをされている社長を見かけますが、「業務の可視化」の実態は「業務の棚卸し」です。棚卸し作業を外注に出す会社はありませんよね。そうです、自分達でやる仕事なのです。業務可視化を外部にやらせれば、それは自負心のある担当者にしてみれば「自分のやってきた仕事の何がわかるんだ?この人たちは。」というひねくれた気持ちにもなりますので、そんなに協力したいとは思えません。しかし、「自分達で業務の可視化を行い、みんなが負担となっていることを潰して全社で業務をより良いものにしてゆくのだ。そのツールとして最終的にはITがあるかもしれないが、それは今考えることでは無い」というスタートであれば、積極参加する気にもなろうというものです。さらに、このような目的意識で可視化活動をスタートすれば、「担当者の負担」という観点での課題の拾い出しもスムーズにできると思います。これは「属人化している業務の洗い出し」ができることとほぼ同じです。
このような「自主可視化チーム」を社内で運営することこそ、「従業員の為のIT化推進」になりますし、それが最終的に成長に直結するIT化の導入チームに発展してゆくものなのです。

話が大きくなりましたので、今回はここまでにしておきますが、社員の積極的な参画を促し、良い会社になるためにITを上手く使うコツとしてのお話でした。当社が外部の人として業務の可視化を進めるのではなく、社員チームが可視化を行う為のノウハウやツールの提供などの支援をさせて頂いている理由はここにあります。

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