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IT化経営羅針盤65 システムの増殖は簡単だが増えたものは減らしがたい

2020.08.18

月額利用料や年額利用料が安価なクラウドサービスが出現し、中小企業でも導入のハードルがかなり低くなっていることはご存じの通りです。クラウドではなくパッケージであってもそれが単機能なものであればあるほど導入は簡単で、すぐに稼働できるものが多く販売されています。問題は導入以降の話です。いったん増えてしまったシステムがどうなってゆくのか、にあります。
例えば、顧客管理システムとして、お手軽に名刺管理クラウドを導入した会社の例。簡単に導入できるクラウドシステムだったので、全社員に使わせるようにしました。クラウドベースですので、インストールや設定が必要なく、簡単な教育だけで紙で受け取った名刺を簡単にデータベースに記録できるようになりました。また、そのデータを他の社員とも共有できるので、拡販活動にも大いに便利であることがわかりました。そこで、社長さんは「せっかく名刺がデータベース管理できるようになったので、それを販売管理システムにきちんと繋げ、営業実績管理にも使える様にいっきに進めよう」と考えられたそうです。そこで販売管理用のパッケージソフトウェアを購入し、業者に委託して自社内にデータベースサーバーを立ち上げ、運用させるところまで進めました。
当初販売管理システムもうまく使い始めることができ、見積管理や販売履歴管理に大きな効果をもたらすと思えました。ところが営業担当者から思いも寄らぬ声が上がり始めます。「名刺管理クラウドに入っている顧客情報を、販売管理システムにコピペしないといけないので、ムダな手打ち作業が発生しています。さらに、お客様の住所や肩書きが変わると、販売管理システムと名刺管理クラウドの両方のデータを修正しなければならないので、すごく面倒な作業が発生しています。」とのこと。社長はその声を聞いて、IT業者に「二つのシステムでデータを連係させるようにしてくれないか?」との相談をしましたが、業者は渋い表情です。どうして簡単に対応できないのか?ですが、それぞれ他のシステムと連携する前提で設計されていないため、連絡先情報の構造が違う(例:姓と名が分かれているものと一つのものになっている)、住所の構造も違う(例:都道府県、市区町村、丁目番地以下で分かれているものと、同一の入れ物になっているもの)、会社の社名の構造が違う(例:法人格と屋号を分けて管理しているものとそうでないもの)など様々なデータの構造が違っていたのです。更に、二つのシステムとも、他のシステムとのデータ交換の仕組みが考えられていない(例:自分のシステムから外にデータを出す機能はあるが、他のシステムから受け入れる機能は持っていない)ため、2システム間でデータをやりとりするためには、前述の情報の構造の変換作業と、システム間でデータを受け渡す機能が必要で、それが非常に設計が難しい状態だったのです。
その解説を受けた社長は、悩む以外に方法がありませんでした。無理に二つのシステムの間でデータをやりとりする仕組みを作ってもらおうとすると、思いのほか高い見積が出てきたのです。上記2つのシステムとも、比較的安い予算で導入できたにもかかわらず・・・です。
この例の様に、
システムを増やす方向は非常に簡単
 いったん複数にばらけたシステムを連携させたり統合させようとするとハードルは一気に上がる
ものなのです。
では、この会社はどうすれば良かったのでしょうか?一にも二にも言えることは、
当初の段階での目論見作り
です。例えばこの会社であれば、「顧客情報を司る仕組みを整備してゆく。そのために、顧客上情報は一元管理しなければならない。そこに商談、見積、注文の情報を紐付けて管理できるようにする」といった目論見を当初から立て、いくつかのステップに分割してシステム化を推進する場合は最終的にその目論見に沿った目標に到達できるようにシステム業者に話しをするべきだったのです。
この会社は上記2つの機能を統合させるべく、少し長めのプロジェクトに取り組んでいますが、いったん二つのシステムに機能がばらけてしまったので、その作業は少し重たいものになりそうです。

いかがでしょうか?システム導入は簡単ですが、いったん複数のシステムにばらけてしまうと運用がやっかいで統合のハードルも高いことをおわかり頂けたでしょうか?
もちろんクラウドサービスやパッケージソフトの導入について否定的に考えているわけではないですが、「最終的にやりたいこと、ありたい姿」を描くこと無しに安易に導入に踏み切ると、かえって現場に負担をかけてしまったり、統合の為に余計なお金をかけなければならなくなるケースがあること、ご理解頂けたでしょうか?
「システム化は目論見から」とお考え頂くことを強くお勧め致します。

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