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IT化経営羅針盤64 業種向けのパッケージの利点と欠点

2020.08.03

「当社はXX業です。XX業向けのパッケージシステムというのは売っているのでしょうか?」というご質問を受けることが多くあります。例えば、製造業、卸売業、農業、建設業等など、あまねく「XX業」にピンポイントで適合するシステムはあるのか?という疑問ですね。その様なご質問を受けた際の回答は決まって「世の中にはありますが、それが御社に適合するかはわかりません」となります。その理由は、「会社の規模と考え方によってパッケージの機能がそのまま使えるかどうかが決まる」からです。なんとも曖昧な回答に、大抵の場合質問をされた経営者さんの表情には不満の色が見て取れますが、そもそも「XX業向け」と打ち出しているシステムの売り方に問題があるのではないかと思っています。
例えば、「製造業向けパッケージ」を例にとってみましょう。この類のパッケージには(非常に多くの機能が搭載されているので書ききれませんが)、主に以下の様な機能群が実装されています。
顧客管理、見積(積算機能を含む)、受注、発注、在庫管理、生産日程管理、製造実績管理、出荷管理、棚卸し・・・
細かく見れば際限ありませんが、だいたいこんなところでしょう。何かを作る会社であれば、これらの機能群は全部必要に「見えます」。しかし、良く考えてみてください。「会社をまるごと改革する」という視点に立つことができるなら、これらの機能は全部使うのかもしれません。しかし、規模の小さな会社にとって、全部門の仕事を新しいシステムに置き換えることは、相当大きな負担となるのと同時に、「それほど効果が期待できない業務についてもシステム置き換えのストレスがかかる」のです。
例えば過去のお客様(T社・製造業)さんでは、業務プロセス管理図を用いた業務改革検討を進めた結果、生産管理部分については現在の運用でも問題無いことがわかったため、仕入・販売・在庫管理の3機能だけが必要、という結論となりました。その会社は比較的価格の高い1点ものを受託生産しており、その工程もシンプルでしたので、効率化やデータ化の必要がなく、システムで管理する必要そのものが無かったわけです。もちろん、最新のAIやIoTを導入しましょう、という段階になるのであれば、データを活用した生産管理機能は必要となってくると思いますが、IT化についてはそれ以外の業務に導入する方が優先順位が高かったのです。
ここまで機能をシンプルにすると、「XX業」向けのシステムから無理をして選ぶ必要はなく、比較的汎用のデータベースシステムに、必要な設定をするだけで必要な機能を実現することも可能となります。T社さんは、大規模な全社的改革を一度にするのではなく、アナログな社内の仕組みを優先順位を付けて徐々にデジタル化し、データを使った業務推進に慣れてゆく、というステップを踏むことにしたわけです。それによって初期投資額や負担を抑制することに成功しました。仮に製造業向けのパッケージを導入する判断をしていた場合、おそらく桁が1つ上がる投資が必要となっていたでしょう。
「XX業向けパッケージ」とは、どれも網羅する業務の種類が多く、全部門がそのパッケージに仕事を合わせる方式が主流です。従って導入時の会社の負担が大きくなりがちで、それに失敗するとパッケージ導入失敗というリスクを背負い込みます。
 自社のどの部分に改革が必要なのか?
 その改革に必要最低限のシステム機能はどのようなものか?
 それを実現することで、会社にはどのような成長が約束されるのか?

これらを明確にする形でシステム導入検討を進めることが理想です。身の丈を遙かに超えるパッケージを導入して負の資産とならぬよう、ご注意頂ければと思います。

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