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IT化経営羅針盤21 「成長のカギは課題の特定にあり!」問題を課題に転換できる会社は育つ

2019.08.23

「鈴木さん、うちには業務課題はそんなに無いですよ。IT化はできればいいですけど、投資回収できる効果は無いと思っています。まぁ、でも社員が非効率な部分が多いと言っているので、いったん見てもらえませんか?」
ある卸売業の社長から言われたことがあります。そこで、「まぁ、ものは試しに…」ということで現場担当者のお話を伺いに行ったところ、3名で出てこられた担当者の方々が堰を切った様に「あれもおかしい、これも理不尽、これには手間がかかって大変、これはAさんしかできないので手伝いようが無い・・・」とまくし立て始めました。
これは当社の経験上良く遭遇するシーンなので、驚くに値しないのですが、社歴が長い会社ほどこんな状況であることは常です。更にあらかじめ申し上げておきますが、これらがすべて非効率な業務というわけではありません。
会社が繁盛すれば、それにある程度比例する形で業務の負荷が増えることは言わずもがなですが、担当者の気持ちに直すと「忙しすぎてムリッ!」となりがちなので、色々と不満が溜まることはある程度仕方の無いことです。
事実、この会社は直近5年間で順調に収益を伸ばしており、財務上も全く問題無い良好な経営状態でした。
ただ、担当者の話を聞いていて気になったことが1点だけありました。それは、
主張していることのほとんどが「問題」の状態だった
からです。要するに、「手間がかかる」とか「大変」とか主張しているだけで、その原因も不明確ですし、どのように大変なのか把握もできていない状態です。更に問題なことに、いくら質問しても、誰もそれらの問題の原因系の話をしない、もしくは「解らない」と答えたことです。
この状態では、経営者さんも手を下すことができないでしょうし、第一対策をとるべきことなのかも判断できません。せいぜいできることは、不満を聞いたり、処遇を改善したり、どうしようもない時には配置転換や増員に踏み切る、という程度の対応しかできません。
そこで、限られた時間の中で、前回のコラムでも話題にした「業務プロセス管理図™」をざっくり作ってみることにしました。すると、どうでしょう。「手間がかかる」と言っていた業務一つとっても、それは、
➀受注の件数による負担増要因
②手書き帳票が多いことによる工数負担
のそれぞれの割合がざっくりと見えてきました。この業務の場合には工数負担率は➀<②の関係でした。更に、②の負担は顧客数の増加に関係していたことが解りました。前述の通りこの会社の業績は好調です。顧客も順調に増えています。もともと手書き書類メインの業務なので、顧客数が増えると書類の種類も増える、顧客あたりの受注件数が例え少なくても、書類の数は増える一方。ということは、これを対策するために単純に人数を増員しても、人数分の効率アップは達成できないことになります。極端に言えば、営業が新規顧客を開拓すればするほど、売上に関係なく社内工数が増え利益が減る、という恐ろしい状態に陥る可能性さえあります。ここまで解れば、後は簡単です。その時点で社長をお呼びし、「この状態が続いて更に業績を伸ばすと、増員の必要性が高まると思いますが、それは単純に固定比率の増加を招きますよ」と指摘させて頂きました。その時の社長の表情は今でも忘れることができません。社長のお話では、
今まで業績が伸びるたびに都度増員してきた
当初は利益率も高水準だったが、年々少しずつ低下傾向にある
それをなんとか食い止める為、様々な節約をしてきたが、業務の見直しには手をつけてこなかった
顧客数の増加が負担を増やしている一つの要因、ということは、うすうす感づいてはいたものの、実際の業務負担に紐付けた分析をしたことがなかったので、今回の結果には驚いた
ということでした。
ここまで至ると、後はそれほど難しいことではありません。問題だ、と言われている業務を可視化してその原因を特定すれば課題や施策に変換できるので、それを潰していく活動をする。必要であれば、IT化やRPA化を考える。という超がいくつも付くほど現実的な活動を回せば、会社の体質は徐々に変わっていきます。もはや、業務量に比例して増員する、という自転車的な操業から脱出も可能になります。
このように、問題を雑ぱくに問題のままに放置するのではなく、少しでも原因を特定して課題に転換できるような会社になれば、それは成長への大きなチャンスになります。
この会社も、その後全社の業務を「業務プロセス管理図™」を駆使して可視化し、課題を特定の上でRPA導入や業務プロセス改善を繰り返しているところです。先日久しぶりにお邪魔しましたが、担当者さんにお話を聞いたところ「鈴木さんに教えて頂いた方法で細く地道に業務改善していますが、おかげで少しずつ自分達の業務効率が上がっていることが実感できますし、何よりもストレスが大きくならないのが助かります」とのことでした。
問題を課題に転換できる会社は伸びる!
これが当社のポリシーの柱の一つでもあり、是非他の方にもお考え頂きたいことです。

「業務プロセス管理図™」はベルケンシステムズ株式会社の商標です。

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