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IT化経営羅針盤29 CIOが育つ組織は成長する、育たない組織は現状維持

「鈴木さん、うちにはCIOを組織としておく余裕はありませんが、ITを理解して進めてくれる良い人材はいます。頼りにできるので、将来を期待しています」
千葉県のとある建築業さんをお邪魔した際に社長がおっしゃった言葉です。その方を応接室にお呼び頂いてお話をさせてもらいましたが、確かに先端的な技術のことも理解していますし、自社の置かれている経営環境や社長が定めている経営目標も咀嚼して説明されていたので、「なるほど、経営者の右腕となるCIOになれそうだな」と敬服しました。
その一方で翌日群馬の製造業の会社にお邪魔しましたが、そこは前日とは正反対に「当社のシステムを担当している社員は単なる技術者だから、言われたことしかできない。当社の規模では仕方の無いことだ。」と言い切る社長がそこにいました。
これら両社に共通すること、それは従業員数30名程度である、ということです。両社とも限りある人材リソースを工面しながらデジタル化へ投入する、という制約事項をかかえていらっしゃるわけです。
両社で何が違うのか?製造業の会社の担当者とお話して気がつきました。
担当者さんが言うには「あちこちの担当から、これをソフトでなんとかならないか?とか、こんな古いソフトではなく、もっと新しいソフトがあるじゃないか?なぜそれに交換できないのか?といった厳しい意見が来るんです。でも、それに全て対応するお金も時間も無いので、結局みんな諦めてしまい、何を言っても変わらない、と思われている様です。悔しいんですけどね。。。。」とのことでした。
私はこれを「負け犬根性」と表現しています(言葉の使い方が悪い、とお叱りを受けることがありますが、本当だから仕方が無い)。
要するに、この担当者さんは、
何か言われたらそれを検討する、という受動的な仕事の仕方
になっています。
一方、建築業で将来CIOを期待されている担当者さんの場合は、色々と相談があった場合、「それは、元々これが原因なので、ソフトで対策しても見せかけだけの対策になる。だから、原因であるこっちをソフトで対策するべきで、その場合具体的には。。。。」という進め方をされています。この担当者さんは、
何か言われても、それを理論的に整理して能動的に対策を提案する仕事の仕方
をしている、ということになります。
更に更に、どうして受動的・能動的なスタイルに分かれてしまっているのか、ですが、原因と思われることは二つありました。
 (1)判断業務を任されている・いない
 (2)担当者が「理論的な思考」を持っている・いない
です。
前述の製造業さんの場合、中小企業にはよくあることですが、どんなことでも最終的には社長の判断なので、判断をすることを諦めていました。従って、何か課題があったとしても前向きな提案にならず、考えることを諦めてしまっているフシがあります。更に、「Aの次はB」、「Zの前はY」という論理的な思考にも少し欠けていて、どちらかと言うと人間力や性格で仕事を処理しているタイプでした。正直なところ、この様な方にIT系の仕事を任せるべきではない、いわゆる人材のミスマッチを起こしていると思います。
他方、建築業さんの場合は正反対でした。IT系のことについては社長から予算上限を示されつつ任されており、その制約事項の中で自主判断ができます。さらに、この方はIT専任ではなく技術部門のリーダーなので、理論的に物事を考える癖が付いています。それが故に、様々な相談があっても、その根本的な事情をしっかり把握し、表面的な対応をさけることができる、ムダな投資をさけることが出来る人だったのです。

人には向き、不向きがありますので、経営者は当然それを見極めて配置を考えていますが、それは

経営者が自分で理解できる範囲の中に留まることが多く、経営者自身がITに対して不理解・不勉強だった場合、IT担当者の選出時に、今回の製造業の様な間違いを起こす

可能性があります。
また、経営者がITのことを解らない、のであれば、解らないなりに人とカネをコントロールしてこなすことができることも、この事例は示しています。

CIOまたはそれに準ずる責任者を育つ環境を作るのは当然経営者さんです。候補者には様々な経験を積ませるのが育成のカギなので、是非上記のポイントを理解頂いた上で中長期的に育成頂きたいと思います。

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