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IT化経営羅針盤30 システム開発費用の激増が発生する三つの理由

2019.11.01

数年前のことですが、当社の地元の塩尻市で市内企業の経営者さんが集まった会合での懇親会の席のことです。ある社長さんから「先日社内システムの更新をしたのですが、当初の見積金額の1.5倍もかかってしまったので、投資資金工面ですごく苦労しました。どうすれば良かったのでしょうかね?」と尋ねられました。とっさに、「契約形態はどのようなものでしたか?当初から見積書をもらいましたか?リスクコントロールをきちんと提案してもらいましたか?」と矢継ぎ早に返してしまい、その社長さんを困らせてしまいました。私の悪い癖かもしれません。
当初見積から大幅に上振れした金額を請求された、というケースは枚挙にいとまが無く、どのような会社でも直面する可能性があるリスクです。超大手企業でもそのようなトラブルを経験することは珍しくなく、システム開発会社との争いになってしまった挙げ句の果てに提訴合戦に発展し、日経新聞の紙面を賑やかにする、といった話や、都市銀行のシステムが何年かかっても完成せず、莫大な予算になっているというお話も耳にします。中小企業の場合でも絶対金額の大小は別として、必ず発生しうるリスクで、「うちは小さいから大丈夫」などとは言っていられません。

では、当初見積から費用が上振れする要因にはどのようなものがあるのでしょうか?少し列挙してみます。

もともと「概算見積」だった
契約形態が「準委任契約」だった
要求を伝え切れていなかった
途中で要求を変えた
開発会社が「標準機能で持っています」と言っていた機能が、実は自社には使えなかった
決めるべきことを決める為に時間がかかってしまった
金額と総工数をオーバーするリスクに対する責任を開発会社と共有できていなかった

等々、いくらでもあります。ただ、これらを私なりに分類すると、

 1 コミュニケーションの問題
 2 契約の問題
 3 リスクコントロールの問題

にまとめることができると思います。
1については以前このコラムでもご説明したことがありますが、いわゆる「齟齬の発生」が筆頭に来る事象です。立場の異なる2社が話しをしていて、わかり合えたつもりでいたのだが、実は誤解していた、というすれ違いです。これはITと経営に詳しい人が間に立つことでかなり解消されます。
2は、法律の専門家が詳しいと思いますが、準委任契約は成果物(ここでは動くソフトウェアの完成物)の納品ではなく、工数に対してお金を払う契約なので、工数や日数が変われば値段も変わります。これに気がつかずに契約してしまっている会社も結構多いかと思います。これは専門家に契約内容を確認してもらうことにより、リスクを低減することが可能です。
問題は3です。
納期、コスト、品質に影響するリスクをあらかじめ拾い出し、そのリスクが顕在化した際にどう行動するのか?そもそもリスクが顕在化しないようにどうするのか?という計画を開発会社と2社間で作り上げ合意しておくことでかなり解決される問題なのですが、作り方が難しいことも事実ですし、「リスクコントロールマトリクスを作れ」と開発会社に言っても理解されないことすらあります。熟練したプロジェクトマネージャが在籍している開発会社であれば、おそらくそれなりの計画を作ってくれると思いますが、それを自社で読み解いて、きちんと合意しておくことも欠かせません。それによって、1や2により問題が発生した際にも相当スムーズに2社で対処できる環境ができあがるのです。

いかがでしょうか?もしこれからシステム開発投資を計画されているのであれば、是非以上の3個の要因を理解頂いた上、「リスクコントロール」に取り組んで頂きたいと思います。「当初予算の1.5倍になってしまった」などというトラブルを防ぐ為に。

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