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コラム / IT化経営羅針盤
IT化経営羅針盤41 経営改革チームのリーダーに求められる資質とは?(その3)
2020.01.20
最近の経営改革は、どうしてもITやDX化などの施策が伴います。ところが、それを例えば商品戦略と同様の考え方で戦略策定しようとしてもうまく行かないことが多くあります。たとえ技術に明るい人材をDX化戦略立案リーダーに任命したとしてもうまくいかないのです。その理由は比較的単純で、そのエンジニアが
ある特定技術分野の専門家
である場合が多いからです。
中小・中堅企業の会社なら、売ったり作ったりしている製品の技術に明るい人材は必ずいます。どうすれば製品を魅力的なものにするかも、そのジャンルの専門家としての長年の経験と勘があります。その分野のことであれば、書籍を出すことができるだけの知識と経験をお持ちの方もいらっしゃいます。
ところが、このような方々が総合的なデジタル化によるDX推進を任された時、実は途方に暮れてしまうことが多いのです。なぜなら、
企業のDX化は、製品だけでなくサービスや販売手法
サポートや製品の使われ方
修理
といった、企業活動全般にわたってデジタルを使うことで何ができるのか?という観点で検討しなければならないためです。ここまで検討範囲が広いので、当然のことですがネットワーク技術で何ができるのか、も把握していないといけません。商品の技術だけでなく、ITを使った販売手法やプロモーションのことまで知る必要があります。つまり、DX化を考えることができるリーダーは、
ピンポイントで深い技術をもっている人
ではなく
広範囲な技術分野について網羅的な知識がある人
なのです。
こうなると、会社の中にそのような人材はいないかもしれません。そこが我が国の産業の国際競争力を落としている大きな原因の一つにもなっているのですから。
「では、現時点でそのような社員はいないが、どうすれば育てられるのか?」と疑問に思われるかもしれません。私の答えは以下の二つです。
・技術者を金の卵を産む鶏にしてはいけない
卵を産むことが仕事になってしまうから
・より広範囲な技術を習得させる為、社外と積極的に交流させる
商品開発や設計の技術者は、「商品開発プロジェクトが立ち上がると、それをなんとか予定通りにこなして、製品を世に送り出す」ことが使命となり、それ以外のことはあまり優先されません。従来の製品とは全く違う、よりDX化に親和性の高い商品を考えるのだ、と突然問われても、それに対する答えを考えるような時間もネタも無いのが実情です。
さらに、経営の裁量でそのような時間的・コスト的な余裕を彼らに与えたとしても、唐突に幅広い知識が必要なことをいきなり検討しろ、という事態には対応できませんね。
当社のお客様の多くは地方に工場を持ち、そこに技術者が偏在しているケースが多いので、そのような技術者の方々は、金の卵を産む鶏であるとともに、その会社のオフィスにどうしても閉じこもりがちになります。外に出ても、空気のきれいな地方の光景が広がっているばかりで、社外の技術に触れる機会はめったにありません。これを少しでも改善していかないと、幅広い技術的知見は得られませんし、社外と他流試合することもできず、結局総合的なデジタル化の推進ができる人材も育たない、という「ないないずくし」の状態が続きます。
技術者は元来、いろいろな物事に興味を抱き、調べる性質のある人材です。彼らの興味を1つの分野だけに特化させず閉じ込めず、少しでも幅広い方面の技術や考え方に触れる機会を増やしてあげることこそ、今の経営者に求められている「DX化やデジタル化推進リーダーの育成活動」なのだと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
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