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IT化経営羅針盤68身の丈IT化投資は「外部接続性」の確保が必須だ

新型コロナの各種給付金、マイナンバー関連システムなど、政府系の既存システムの「不備」や「非システム化」により、様々な混乱を来した結果、今後の政策の柱の一つを官公庁のデジタル化に置く考えが政治の世界で語られています。システムが導入されていても、それを汎用的に使うことができない状態が故に様々な混乱や遅延が発生したことは言うまでもありません。しかも、それぞれのシステムは民間企業の立場から見ると「莫大な投資」によって構築されたものでした。それなのに、なぜ融通が利かないのか。。。それは中小企業のIT化投資への反面教師にもなります。
それぞれのシステムは、当然ながらそれぞれ設定された目的を実現するために設計されたものです。目的を絞り込めば絞り込むほど、必要なデータと機能が少なくてすみ、より明確に定義できるようになることで設計がシンプルになりますし、運用も定型化できます。開発するシステムの肥大化を抑制し、運用開始の混乱を避けることができる王道とも言えます。しかし、それは「システムの単機能化」を招きやすい考え方です。「システムのサイロ化」と呼んでいる専門家もいます。「サイロ」とは良く牧場で見かける飼料倉庫ですが、複数のサイロは単独で成り立っており、横の連携は通常ありません。「飼料を必要な時に必要なだけ貯めたり出したりする」という非常に単純な機能が実現されており、その機能に複雑さは全く存在しません。
「サイロ化されたシステム」も似たようなもので、決まり切ったデータを決まった手順で処理していくだけの単機能に特化されています。ところが、「ここに必要なデータが入っていて、それを他のシステムで使いたい」という事象が発生した場合、完全にサイロ化されたシステムは、その要望に対応しにくいことになります。前述の政府系システムのうちいくつかは、このようなサイロ型になっていたと言えます。そうなってしまったものをなんとかしたい時、サイロの横腹に穴をあけてそこから飼料を抜き出す方法もあるかもしれませんが、相当な荒療治ですし飼料が入ったままの状態での工事は非常に困難です。サイロ化されたシステムは他のシステムとの連携が非常に難しいのです。
もし、中小企業でこのようなサイロ化されたシステムが複数導入されてしまっていれば、それによって将来発生する不具合は想像に難くありません。
「顧客情報はここに入っている。それと広告効果のデータを連携させて管理したいができない」
とか
「製造歩留まりの情報はここに入っている。しかし、製品・部品マスターとの連携の方法がない」
といった、「サイロ化してしまったシステム」の柔軟性の欠如が突然問題として発覚することになるでしょう。
サイロ化したシステム、は開発当時は費用を抑制でき「身の丈投資」を実現できます。開発したその瞬間は満足なものになるでしょう。しかし、将来の拡張の可能性があるのであれば、それは避けるべきことです。将来に禍根を残さぬよう、外部システムとの接続性の仕掛けをきちんと仕込んでいくことが非常に大切なのです。

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