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IT化経営羅針盤91 システム化の鬼門「止まったらどうする?」の考え方

大手銀行のATM停止のニュースが駆け回っています(202131日時点)。金融基幹のシステム停止は社会経済に大きな影響を及ぼすため大ニュースになりがちですが、少し翻って企業のシステムの停止のことを考えてみようと思います。「システムの停止」…これはDX化が急速に進む企業にとって実に重大な事故であり、どう対処しなければならないか常日頃から考え、準備をしていかないといけないことです。

先日ある社長さんから「鈴木さん、システムって止まることがあるんですか?」と真顔で質問されました。実はこの社長さん以外にも当社のお客様の中には同様の疑問を持たれている方が実に多く、「システムは止まることが無い」という都市伝説めいた誤った常識が横行していることに大きな危機感を感じています。

一般的にシステムが「止まる」原因は(サイバー攻撃を除くと)以下の3種類に分類されます。

  ・ソフトウェアが障害で止まる(バグや想定外のデータが入ることによる異常等)

  ・ハードウェアが故障で止まる(純粋に電子回路の故障で止まる)

  ・ネットワークが原因で止まる(通信障害などで止まる)

お手元のPCの調子が悪いことを経験された読者の方は多いと思いますが、その主原因も上記3種類のいずれかの障害によるものになります。大金を投資して導入したシステムであっても、ハードウェア+ソフトウェア+ネットワークの組み合わせで構築されているものなので、「システムは止まらない」は都市伝説以外の何物でも無いのです。むしろ「いつか必ず止まるもの」と考えておく方が妥当です。ここで大きな問題なのが、「止まった時どう行動するのか?」についてきちんと考えていない経営者が実に多いことです。「止まったら業者に頼んで復旧してもらえば良い」という声が聞こえてきそうですが、復旧するまでの時間はどの程度でしょうか?短時間であっても停止した場合の影響はどうなのか把握されていますでしょうか?かく言う私も過去に基幹システム停止という痛い目に遭ったことがあります。そのシステム停止事故は完全復旧するまで数日かかりました。復旧しても復旧しても数時間使うと唐突に停止してしまう、というやっかいなトラブルだった為、単純な修理では対応できず、原因を特定しながら修理する必要があったため長い時間が必要だったのです。その時には会社運営に大きな影響を与えてしまい、オフィスに泊まり込んで対応を進める、という過酷な経験となりました。

つまり、システムはいずれ停止するものであることを前提にした上で、その時に企業活動をどうやって維持するのか?がキーワードとなります。例えば受注システムが停止したとしましょう。すると、止まった瞬間にお客様からのご注文を受けることができなくなってしまいます。「ご注文頂いてありがとうございます。申し訳ありませんが現在システムが停止しているので納期も金額もわかりません。復旧したら改めてご連絡差し上げます。」的な苦し紛れのトークをすることになります。当然機会ロスすることになりますし、何よりも企業の信用を失墜させることになってしまいます。では企業はこれにどのように備えれば良いのでしょうか?考え得るアクションは以下の2つです。

  ・予備のシステムを用意する

  ・停止事故が発生した場合の対処マニュアルを準備し、日頃から訓練する

前者はシステムを2重に持つことになるので、経済的負担が重くのしかかります。金融機関などでは23重に予備を用意すると思いますが、多くの一般企業ではそこまで投資することは困難でしょう。更に、冒頭述べた金融機関も当然2重化していたにも関わらず、今回事故は避けられませんでした。いくら多重化しても結局は停止リスクをゼロにすることはできないのです。そうなると、残る対処は後者しかありません。これは企業規模の大小にかかわらず、日頃から備えておかねばならないことなのです。例えば、以下の様な緊急対処ができるようにすることです。

 受注機能が使えなくなる場合-->手書き伝票で最低限の処理ができるように備える

 在庫データを調べられなくなる場合-->日に一回は在庫データをPCに書き出し、表計算ソフトで参照できるようにする

 顧客情報を参照できなくなる場合-->日に一回は顧客リストをPCに書き出す

 等々・・・

ここで大切なことは「人間の手作業でシステムの代替えをしても、処理能力はシステムよりも大きく劣ることを覚悟しておく」ことです。従って、業務の優先順位も決めておくことが肝要でしょう。

 

いかがでしょうか?皆さんの会社のシステムが止まったらどうなるか検討したことはありますか?重要なことなので、もう一回書きますが

  システムはいずれ止まるものと考え、日頃からそれに備えよ

です。システムが停止したため、重要顧客が離反してしまった、等といった致命的なリスクが顕在化しないように、地味な準備を進めることを是非お考え頂ければと思います。

 

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